「かっこよさ」を、あえて封印する
アイドル出身の俳優にとって、いちばん手放しにくいのは「かっこよさ」だ。それが人気の土台であり、ファンが待っている顔でもある。ところが中島健人は、その看板を自分から下ろしにきた。8月20日にNetflixで世界配信されるシリーズ『SとX』で、彼が演じるのは精神科医兼セックスセラピスト。セックスレスやED、性的トラウマといった、これまでのきらびやかなイメージからは遠い、生々しい悩みに向き合う役どころだ。本人は、エンターテイナーとして単にかっこよく見えるだけでなく、その先の新しい次元を描きたいと語っている。(ORICON NEWS、26/07/22) 王子様の衣を脱ぐ、という選択である。
触れづらいテーマに、正面から踏み込む
題材からして攻めている。原作は多田基生の漫画で、性の悩みという、テレビの王道からはこぼれ落ちがちなテーマを真正面から扱う。ヒロインには新木優子、脇にはユースケ・サンタマリアや佐野史郎ら幅広い世代の実力派がそろう。中島にとってこれは映画以来2度目のNetflix作品主演で、役づくりではあえて「かっこ良すぎない」姿を目指したという。華やかな見せ方を封印し、等身大の弱さや戸惑いを引き受ける。アイドルとして磨いてきた強みを一度手放してまで、俳優としての幅を取りにいった格好だ。安全な路線を選ばなかった時点で、この挑戦の本気度は伝わってくる。
世界配信という舞台が、脱アイドルを後押しする
この転身を支えているのが、Netflixという舞台だ。地上波のゴールデン帯なら、事務所やスポンサーの期待、既存ファンの視線がどうしても演技を縛る。だが世界同時配信の枠なら、国内のアイドル像から切り離された「一人の俳優」として評価される余地が広がる。性というきわどいテーマも、配信プラットフォームだからこそ真正面から扱える。つまり中島は、自分のイメージを塗り替えるのに最も都合のいい場所を選んだ。脱アイドルは気合だけでは進まない。それを許容してくれる舞台があって初めて、思い切った振り切りが成立する。
アイドル像は「守る」から「脱ぐ」へ
かつてアイドル出身俳優の王道は、いかに好感度を守るかにあった。恋愛も、汚れ役も、イメージを損なう選択は避ける。だが近年、その作法は明らかに変わってきた。結婚を堂々と公表するアイドルが増えたのと同じ流れで、俳優としては「きれいなイメージを守る」より「まったく別の顔を見せる」ほうが評価される時代に入った。ファンも、完璧な虚像より、挑戦して揺れる等身大の姿に反応する。中島の振り切りは、その空気を敏感に読んだ動きだと見ていい。守りに入れば安泰でも、そこに驚きはないのだ。
問われるのは、脱いだあとの中身
中島健人が「かっこよさ」を封印したのは、人気を捨てたからではない。むしろ、アイドルの看板だけでは届かない領域へ踏み込むための、計算された脱皮である。世界配信という舞台を選び、触れづらいテーマに正面から向き合う。その姿勢自体が、彼のキャリアの次章を告げている。見るべきは、彼が王子様をやめたことではない。看板を下ろした先で、どれだけ俳優として立てるか――『SとX』は、その答え合わせの最初の一本になる。
参照ソース(情報の出どころ)
中島健人、Netflix『SとX』で演じる“セックスセラピスト”とは? これまでのキャリアの集大成&完全なる新境地に挑戦(ORICON NEWS、26/07/22)
中島健人が“性の悩み”に向き合うセラピストに Netflixシリーズ「SとX」予告映像(cinemacafe.net、26/07/29)




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