2026年1月、CESに「10年前のウォッチ」が帰ってきた
CES 2026の会場に、Apple WatchでもGalaxy Watchでも、Garmin FenixでもPixel Watchでもない製品があった。Pebble Round 2だ。ステンレス製の薄い円形ケース、1.3インチのカラーe-peperディスプレイ、4つの物理ボタン、心拍センサーなし、GPSなし、スピーカーなし。バッテリーは最大14日間。価格は$199。
周囲は同じ週に$1,299のSamsung Galaxy S26 Ultraや$999のGarmin Fenix 8 Proが話題になっている中で、このウォッチは独自の文脈で話題になった。「これが欲しかった」という声だ。
Pebbleはなぜ「死んで」、なぜ「戻った」のか
Pebbleは2012年にKickstarterで誕生したスマートウォッチの先駆者だ。当時AppleもSamsungもスマートウォッチを出していなかった時代に、e-paperディスプレイと1週間バッテリーという組み合わせで熱狂的なファンを獲得した。しかし2016年、Fitbitに買収されたことで事実上のブランド消滅。その後PebbleOSはオープンソース化され、コミュニティが維持し続けた。
2024年、創業者のEric Migicovsky自身が「Core Devices」という会社を設立してPebbleブランドを復活させた。まずPebble 2 DuoとTime 2($225、2025年12月発売)を投入し、2026年1月にCES 2026でPebble Round 2($199、5月出荷)を発表した。3製品とも、スマートウォッチの常識とは逆方向を向いている。
「欠けているもの」が全て意図的な設計だ
Pebble Round 2に心拍センサーがない。Migicovsky自身が「心拍センサーは全員に必要なわけではない」と明言しており、これは省略ではなく選択だ。GPS、NFC、スピーカーも同様。TechRadarのレビュアーがCES会場でMigicovsky本人に確認したところ「Round 2はGalaxy WatchやApple Watchの代替を狙っていない。それが必要な人は他のウォッチを使えばいい。これは、そういうウォッチが自分に合わない人のために作った」と答えている。(TechRadar 26/01/02)
Android Authorityの記者はCES会場での試着について「これほど薄くて軽いスマートウォッチを着けると、ダミーモデルをつけているような錯覚がある」と述べており、8.1mmという厚さが現行スマートウォッチとの差異をリアルに体感させるという。(Android Authority 26/01/07)
「2週間バッテリー」の重みが2026年には増している
Apple Watch Ultra 3のバッテリーは最大42時間(省電力モード72時間)。Galaxy Watch 8 Ultraは最大60時間。対してPebble Round 2は14日間、つまり336時間だ。これは単なるスペックの差ではない。「充電を気にしない」という体験の差だ。
スマートウォッチを使い続けられない理由として「毎日充電が面倒」は常に上位に挙がる。特にガジェットに詳しくない層、あるいはキャンプや旅行の多い層にとって、2週間バッテリーはゲームチェンジャーになりうる。
「通知ハブとして優秀なウォッチ」という市場の空白
Pebble Round 2が狙っているのは、Light Phone 3などが「シンプルフォン」として狙う市場と同じ層だ。スマホの通知はもらいたいが、スマートウォッチの複雑さや充電の面倒さは要らない。スポーツ計測・健康管理・決済は腕時計には求めない。ただし着信・メッセージ通知は腕で受け取りたい。
こうした「目的を絞ったウォッチ」への需要は確かに存在する。Technobezzが指摘するように、Round 2の$199という価格はApple Watch SE($249)より安く、Galaxy Watch系列よりも大幅に安い。Apple WatchとGarminの両方を持っている人が「サブウォッチ」として持つという使い方も現実的だ。
8万本のアプリと、オープンソースという強み
忘れてはならないのがPebbleの資産だ。PebbleOS上には今も15,000本超のアプリとウォッチフェイスが存在し、PebbleOSはオープンソースで公開されているため、開発者コミュニティが自由に機能を拡張できる。Migicovksy体制のCore Devicesはこのコミュニティに乗っかる形で運営しており、ハードウェアのコストを押さえながらソフトウェアの豊富さを維持するというビジネスモデルが成立している。
「Appleに勝ちにいかない」という割り切りが、2026年のスマートウォッチ市場においてPebbleのユニークなポジションを作り出している。この製品が刺さる人には刺さる、という確信を持って出てきたことが、初めて試着したレビュアーたちの反応から伝わってくる。
参照ソース(噂の出どころ)
Pebble unveils Pebble Round 2(TechRadar)
I tried the new Pebble Round 2(Android Authority)
Pebble Launches Round 2 Smartwatch for $199(Technobezz)
CES 2026: Pebble Reboots Its Stylish Round Smartwatch(CGMagazine)




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