タブレットに押し寄せる「値上げの波」
メモリ価格の高騰が、タブレット市場を直撃している。Xiaomi Japanは2026年4月17日、エントリー〜ミドルレンジのタブレット計8製品を4月28日に値上げすると発表した。「値上げ幅は2,000〜1万円、値上げ率は約4〜32%」に達する。(ITmedia/26/04/17)これに続いてHonorも価格改定を表明しており、Android勢を中心に値上げが連鎖しはじめている。コストパフォーマンスを武器にしてきた中華タブレットほど打撃が大きく、これまでの「安くて高性能」という常識が静かに崩れつつある。
なぜ今、メモリだけが急騰するのか
原因はAIである。メモリメーカーが利幅の大きいAIデータセンター向けにリソースを振り向けた結果、一般向けメモリチップの供給がひっ迫した。9月以降、DRAMやNANDフラッシュの価格は3倍以上に跳ね上がったとされ、この傾向は2028年頃まで続く可能性が高いとみられている。タブレットは搭載メモリ量で価格が大きく動く製品だけに、原価上昇がそのまま店頭価格に跳ね返りやすい。安価なAndroid機ほど利益の余裕が薄く、原価高を吸収しきれずに真っ先に値上げを迫られる。AIブームの請求書が、巡り巡って消費者の手元に届いている構図だ。データセンターが買い占めるメモリと、手元のタブレットに載るメモリは、もとをたどれば同じ製造ラインから出てくる。AI投資が過熱するほど身近なガジェットが値上がりするという、皮肉な連動が生まれている。
それでもiPadが「据え置き」でいられる理由
同じ嵐のなかで、AppleのiPadは比較的静かだ。理由は調達力にある。Appleは部材メーカーと長期・大量の供給契約を結び、12〜24カ月先までメモリを確保しているとされ、メモリ高騰局面でもAndroid勢のような即座の値上げを迫られにくい。皮肉なことに、SamsungへのDRAM依存という弱点が、今回は「安定供給」という強みに反転している。年間2億台規模の購買力を背景に、メーカーは最優先でAppleに在庫を回す。資金力と交渉力の差が、そのまま店頭価格の差になって表れているわけだ。体力のある巨人ほど、値上げの嵐をやり過ごせる。
「買い時」は人によって正反対になる
いまのタブレット選びは「待つほど高くなる」局面に入った。値下がりを待つ従来の常識は、メモリ高騰下では通用しない。大容量モデルや高性能Androidを狙うなら、値上げ前の在庫がある今が現実的な買い時だ。一方、用途が動画とウェブ閲覧程度なら、価格が安定しているエントリーiPadや型落ちモデルで十分こと足りる。スペック表の数字に踊らされて、高い時期に上位機を背伸びして買う必要はない。賢い選択は「今すぐ買う人」と「急がない人」で正反対になる――それが2026年夏のタブレット市場である。




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