日銀は動いた。それでも円は売られた
2026年9月18日、日本銀行は金融政策決定会合で政策金利を0.25%引き上げ、1.25%とすることを決めた。賛成7・反対2の決定で、植田総裁は会見で物価の上振れリスクに触れ「政策の局面は変化した」と踏み込んだ。(みんかぶFX 26/09/18)ところが、市場の反応は教科書通りにはいかなかった。会見後、ドル円はむしろ156円台へと円売りが進み、日経平均は6万5000円台へ上昇した。利上げをしたのに、円安が止まらないのである。
教科書では「利上げ=通貨高」なのに
本来、金利の引き上げはその通貨の魅力を高め、買われる要因になる。にもかかわらず円が売られたのは、いくつかの理由が重なっているためだ。第一に、日米の金利差が依然として大きく、円を買う動機になりにくいこと。第二に、日銀が連続利上げの間隔を明示せず、今後のペースが曖昧に映ったこと。市場では、利上げ後も円安基調が続き、次の節目は159円台との見方も出ている。(外為どっとコム 26/09/19)政策の一手だけでは、流れは変わらなかった。
円安の正体は「金利」ではなく「稼ぐ力」
より根深いのは、構造的な円売りだ。貿易収支の悪化に加え、クラウドやデジタルサービスの利用料を海外に支払い続ける「デジタル赤字」が膨らみ、日常的に円を売ってドルを買う流れが定着している。日銀の追加利上げが円安を止められるかは、継続的に金利を引き上げて実質金利を戻せるかにかかっているとの指摘もある。(OANDA証券 26/09)為替を動かしているのは金利水準そのものより、日本が海外からどれだけ稼げるかという実力の問題だ。
見るべきは日々の値動きより「構造」だ
今回の会合が示したのは、利上げという分かりやすいカードが、もはや万能ではないという現実である。円安の背景に構造的な要因がある以上、一度や二度の利上げで潮目が変わると考えるのは早計だ。投資家が注視すべきは、その日のドル円が何銭動いたかより、日銀が正常化を続けられるか、そして日本の稼ぐ力が戻るかという長い物語のほうだろう。円の弱さは、金利表ではなく国の実力に映し出されている。





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