教科書とは逆の動きが起きた

金利が上がれば株は下がる。多くの入門書にそう書いてある。企業は借入コストが増え、投資家はわざわざ値動きの荒い株を持たなくても預金や債券で利息を取れるようになるからだ。ところが2026年9月の日本では、その教科書どおりにならなかった。日銀が追加利上げに踏み切ったのに、日経平均はむしろ底堅く推移している。

日銀は9月17〜18日の金融政策決定会合で、政策金利を1.0%程度から1.25%程度へ引き上げた。1.25%は1995年以来、およそ31年ぶりの高水準にあたる。2会合ぶりの利上げで、市場はこれを「半年ペースから四半期ペースへの切り替え」の始まりと受け止めた。(日本経済新聞 26/09/16)

それでも日経は65,000円台に戻ってきた

相場は動じなかった。日経平均は8月中旬に6万9220円の高値をつけたあと調整に入り、9月11日には6万4011円まで下げていた。しかし利上げ発表後もじりじりと持ち直し、週明けは6万5000円台を維持し、6万6000〜6万7000円方向をうかがう展開が焦点だと見られている。為替も9月19日時点で1ドル156円台まで円が戻し、利上げ後の下げ幅を縮めた。(外為どっとコム 26/09/18)

ねじれの正体は「予測可能性」にある

なぜ逆風のはずの利上げで株が崩れないのか。答えは金利の水準そのものではなく、その「読みやすさ」にある。今回の1.25%は事前にほぼ織り込まれていた。市場が最も嫌うのはサプライズであって、想定内の利上げは悪材料出尽くしとして買い戻しを誘う。

さらに二つの追い風がある。ひとつは円安の是正だ。円が戻れば輸入インフレが和らぎ、家計と内需企業には恩恵になる。もうひとつは世界的なAI・半導体相場で、日本株の主力もこの流れに乗っている。利上げの重石を、成長期待が上回っている構図だ。物価面でも企業物価が前年比プラス圏で高止まりする一方、消費者物価の伸びは相対的に落ち着いており、日銀が慌てて金利を大きく上げる必要はないという安心感につながっている。(株帳 26/09/16)

「利上げ=株安」という思い込みを捨てる時

市場関係者の見立てでは、次の利上げ時期は2027年1月とする回答が約6割、年内12月とする回答が約35%を占めた。想定される到達点の中央値は1.75%とされる。つまり、まだ上げ余地は残っているものの、ペースと着地点はある程度共有されている。ゴールが見えている登り坂は、投資家にとって怖くない。

ここから読み取るべきは、利上げそのものより「日銀が何を考えているかが読めるかどうか」を相場が値踏みしている、という事実だ。金利の絶対水準に一喜一憂する時代は終わりつつある。31年ぶりの金利が突きつけたのは、株安の恐怖ではなく、予測可能性こそが最大の下支えになるという相場の新しい常識だった。利上げイコール株安という古い等式は、もう一度疑ってかかったほうがいい。

参照ソース(噂の出どころ)

日銀、9月政策金利1.25%へ 利上げ加速で物価上振れリスク回避(日本経済新聞, 26/09/16)

来週の日経平均見通し(9/21〜9/25)(外為どっとコム マネ育チャンネル, 26/09/18)

日銀利上げ 2026年9月会合で政策金利1.25%へ 内容まとめ(株帳, 26/09/16)

コメントを残す

Trending