タワマン節税に、終わりの日付がついた

長らく富裕層の相続対策の定番だった「タワマン節税」に、はっきりとした期限が入った。2025年12月に閣議決定された令和8年度税制改正大綱で、賃貸用不動産の相続税評価を見直す新ルールが盛り込まれ、2027年1月1日からの施行が予定されている。相続開始前5年以内に取得した貸付用不動産を、従来よりずっと市場価格に近い水準で評価し直す、いわゆる「5年ルール」だ。(タワマンマニア/26/03/31)。ここ数年でタワマンを買った人ほど、この一行の重みは大きい。

なぜタワマンで税金が減っていたのか

そもそもの仕組みはシンプルだ。相続税を計算するとき、土地は路線価、建物は固定資産税評価額で評価される。路線価は市場価格のおよそ8割、建物の評価額は建築費の5〜7割程度にとどまる。結果として、時価の半分以下でしか評価されないケースも珍しくなかった。特に高層階ほど、実際の売買価格と評価額の差、いわゆる乖離が大きくなる。現金で持てば額面そのままに課税されるのに、同じ金額でタワマンを買えば評価額が大きく圧縮される。この差こそが「節税」の正体だった。

「5年ルール」が消す、1億円の圧縮

新ルールでは、相続開始前5年以内に取得した貸付用不動産は「通常の取引価額」に近い水準、おおむね取得価額の8割程度で評価される見込みだ。(モコハウス/26/07)。効果は具体例で見ると生々しい。築2年、2億円の賃貸タワーマンションの場合、従来の方法ならおよそ6千万〜7千万円で評価できていたものが、5年ルール適用後はおよそ1.6億円に跳ね上がる。圧縮効果としておよそ9千万〜1億円が丸ごと消える計算になる。(タワマンマニア/26/03/31)。

2024年の改正では、対象が居住用の区分所有マンションに限られていた。今回はそこから踏み込み、賃貸用不動産全体へと網が広がる。手つかずだった「貸す前提のタワマン」まで対象に入った点が、今回の本質だ。

「買えば下がる」時代の終わり

ここで冷静に見ておきたいのは、規制されたのは「タワマンそのもの」ではなく、「取得価額と評価額の乖離を使った圧縮」だという点だ。国が問題視したのは高層マンションではなく、時価と課税評価のあいだに開いた説明のつかない差だった。だから逃げ道として不動産小口化商品に流れても、そちらも取得時期を問わず時価を踏まえた評価に切り替わる。(モコハウス/26/07)。抜け道を一つ塞ぐたびに、隣の抜け道も同時に塞ぐ設計になっている。

2027年以降、相続の直前にタワマンを買って評価額を圧縮する、という一手はほぼ通用しなくなる。5年より前に取得していれば従来評価が残るため、当面は「いつ買ったか」が節税の可否を分ける。タワマンの資産価値が消えるわけではないが、「買えば税金が下がる魔法」としての価値は、2027年1月をもって静かに終わる。見るべきは物件そのものではなく、取得から相続までの年数だ。

参照ソース(情報の出どころ)

タワマン節税の終焉?──2024年改正+2026年「5年ルール」で何が変わるか(タワマンマニア)/26/03/31

【税制改正大綱】不動産相続の「5年ルール」とは?(モコハウス)/26/07

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