市場は161円、プロの目線は152円台という奇妙なねじれ
2026年6月29日の外国為替市場で、ドル円は1ドル161円台後半をつけている。歴史的な円安水準が常態化し、もはや誰も驚かなくなった。ところが、相場のプロたちが見ている年末の着地点は、足元よりかなり円高側にある。この「実勢と見通しのねじれ」こそ、いまの円相場を読むうえで最も大事なポイントだ。
注目されたのが野村證券の予想修正だ。「野村は2026年末の米ドル円見通しを、従来の147.5円から152.5円へ引き上げた。中東情勢の悪化と原油高を背景に、米ドル高圧力が全般的に強まると見込んでいる。(野村ウェルスタイル)」数字だけ見れば「円安方向への上方修正」だが、161円という現実から見れば、年末に向けてむしろ円が戻る、という読みになる。
「中東でドル高」という連想が効いている
修正の背景にあるのは地政学だ。中東情勢が緊迫すると原油価格が上がり、エネルギーを輸入に頼る日本の貿易収支は悪化する。同時に、有事には基軸通貨であるドルが買われやすい。つまり「中東リスク=ドル高・円安」という連想が市場に染み込んでいる。野村の試算でも、中東情勢が落ち着いて原油が先物の織り込む水準まで下がれば、年末のドル円は150〜155円のレンジへ緩やかに向かうとされている。緊張が解ければ円高、こじれれば円安。為替が原油と中東のニュースに振り回される構図が、当面続くということだ。
日本株は「円安の追い風」を素直に喜べない
円安は本来、輸出企業の追い風になり株高を支える。ところが、いまの日経平均はその恩恵を素直に享受できていない。「29日の日経平均は前週末比249円高で寄り付いたものの、ほどなく下げに転じ、AI・半導体株が戻り待ちの売りに押されて指数は軟化した。(株式新聞Web)」相場の中身が一部の半導体株に偏り、円安が効くはずの内需や輸出全体への波及が鈍い。為替が円安でも株が伸びきらないのは、相場の足腰が細っている証拠でもある。
個人投資家が今、見るべきもの
こうした局面で振り回されないために必要なのは、「161円が当たり前」という感覚を疑うことだ。プロの中心シナリオが152円台にある以上、年末にかけて円が一定程度戻る可能性は十分にある。輸入株や外貨建て資産に偏ったポジションは、円高に振れた瞬間に評価を削られる。逆に、円安が永遠に続く前提で組まれた円キャリーのような戦略も、巻き戻しのリスクを抱える。
大事なのは、為替の方向に賭けるのではなく、どちらに振れても極端に痛まない配分を保つことだ。中東と原油という、自分ではコントロールできない変数が相場の主導権を握っている今、当てにいくほど分が悪い。実勢と見通しが14円も開いているという事実そのものが、相場の不確実性の高さを物語っている。読み切れない時こそ、守りを固める一手が効く。
参照ソース(情報の出どころ)
2026年末の米ドル円見通しを152.5円に引き上げ 中東情勢で強まる米ドル高圧力(野村ウェルスタイル/26/04/02)





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