AI相場の主役は、画像処理装置の会社ではない
AIブームと言えば、誰もがまずNVIDIAを思い浮かべる。だが2026年に入って、その陰でNVIDIAに匹敵する、いや見方によってはそれ以上の利益率を叩き出している業種がある。半導体メモリの三強――SK Hynix、Samsung、Micronだ。AIサーバーが計算するためには、膨大なデータを高速で出し入れするメモリが要る。なかでもGPUに直結するHBM(広帯域メモリ)は、いくら作っても足りない。需要が供給を恒常的に上回る、製造業ではめったに起きない売り手市場が続いている。
その熱狂を体現したのがSK Hynixだ。「2026年第1四半期の売上高は前年同期比198%増、HBMの営業利益率は70%を超え、株価は最高値を更新して時価総額は2000兆ウォンを突破した。(TradingKey、26/06/18)」AIの計算を担うGPUの会社ではなく、その計算を支える「記憶装置」の会社が、相場の隠れた主役に躍り出ている。
なぜ「ただのメモリ」がここまで儲かるのか
DRAMはかつて、価格が乱高下する典型的なコモディティだった。好況で増産すれば供給過剰で暴落し、各社が赤字に沈む――その循環を何十年も繰り返してきた。ところがHBMは違う。設計が複雑で、製造に高度な積層技術を要し、簡単には増産できない。AIデータセンターという胃袋が無限に近い食欲を見せるなか、作れる量が限られているからこそ、価格が崩れない。
需要の強さは数字に表れている。「SK Hynixへの顧客需要はすでに今後3年分の計画生産能力を超えており、DRAMの平均販売単価は前年比62%上昇するとの強気予測も出ている。(TradingKey、26/06/20)」3年先まで売り先が埋まっているメーカーは、製造業ではまず存在しない。メモリが「コモディティ」から「希少資源」へと性格を変えたことが、この相場の本質だ。
汎用メモリの逆襲が、PC・スマホを直撃する
儲かるHBMに生産能力を振り向ければ、当然ながら普通のDRAMの供給は細る。「収益性の劇的な逆転を背景に、各社が汎用DRAMからHBMへ戦略を転換し、結果として一般向けメモリの需給が引き締まっている。(XenoSpectrum、26/05)」これがPCやスマートフォンの値上げという形で、消費者の財布に跳ね返っている。AIの計算需要が、巡り巡って手元の端末価格を押し上げる――メモリこそ、AIブームと日常を結ぶ最短の導線になっている。
投資家がメモリ株を「メモリのNVIDIA」と呼び始めたのは、決して大げさではない。GPUが計算の主役なら、メモリはその主役を動かす血液だ。AI設備投資が続く限り、血液の需要は止まらない。
過熱の先にある「サイクルの記憶」
もっとも、メモリ業界には忘れてはならない歴史がある。好況のたびに各社が増産競争に走り、最後は供給過剰で総崩れになってきた過去だ。今回のHBM不足は2028年頃まで続くとの見方が強いが、巨額の設備投資が一斉に実を結ぶ局面では、希少性という前提が一夜で揺らぐ。3年先まで埋まった受注は強みであると同時に、その先の反動の大きさも暗示している。
SK Hynixが米国での預託証券発行を打ち出し、市場の関心を集めているのも、過熱の裏返しと見るべきだ。AI相場でNVIDIAだけを見ていると、本当のボトルネックを見落とす。2026年の半導体投資は、計算する力ではなく、記憶する力の希少性が握っている。その希少性が崩れる日こそ、AIバブルの本当の転換点になる。
参照ソース(噂の出どころ)
HBM需要が上昇を牽引、SKハイニックスは時価総額2000兆ウォンを突破(TradingKey、26/06/18)





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