2026年、地下アイドル界で異例の出来事が進行している。BiSやBiSHを生み出してきたWACKが、豆柴の大群を除く所属グループを年内にすべて解散させ、ひとつの時代に幕を下ろす。解散ラッシュが珍しくないこの時代にあっても、好調なグループまで含めて自ら畳むこの決断は際立っている。元代表・渡辺淳之介が壊してまで手に入れようとしているものは何か。

「第1章」を自分の手で終わらせる

すでにASPとBiTE A SHOCKが解散し、ExWHYZ、GANG PARADE、KiSS KiSSもそれに続く。豆柴の大群はクロちゃんプロデュースで継続するが、それ以外はWACKという看板の下から姿を消す。WACK第1期の終了にともない、これまでの集大成と今後の新たな方向性を融合させた合宿オーディションとして「合同オーディション2026」が開催された、と発表されている。(音楽ナタリー 26/03)勢いのあるグループを解散させてまで区切りを打つのは、ブランドを延命させることより、リセットして次を始めることを優先した判断だ。

「最後のWACKオーデ」が問いかけたもの

象徴的だったのが、2026年3月22日から28日まで実施されたオーディション合宿である。模様はニコニコ生放送で24時間完全生中継された。新規参加者だけでなく、解散が決まったグループの中で「このままWACKに残りたい」メンバーや、元WACKで「もう一度挑戦したい」人も参加できる設計になっていた。(StoryWriter 26/03/27)所属の肩書きをいったん全員から外し、残りたい者は裸でもう一度志願させる。この苛烈な仕切り直しこそ、渡辺淳之介が一貫してアイドルに課してきた「覚悟を見せろ」という思想の延長線上にある。

合格者ゼロという結末が示す本気度

そして審査の結果、合格者は出なかった。(StoryWriter 26/03/27)集大成と銘打ったオーディションで誰一人通さない。普通の事務所なら話題作りのためにも一人は受からせる場面だが、WACKはそれをしなかった。基準を下げてまで頭数を揃えるくらいなら、ゼロのまま次へ進む。この潔さは、解散ラッシュを「事業縮小の苦渋の決断」として処理する他事務所とは、動機からして異なることを示している。WACKの解散は撤退ではなく、編集である。

解散が「縮小」ではなく「戦略」になる稀有な例

2026年はアイドル界全体で解散・活動終了が相次ぎ、事務所再編と業界縮小が同時に進む年になった。多くは市場の冷え込みに押された受け身の幕引きだ。そのなかでWACKの一斉解散だけは異質である。グループという容れ物を計画的に空にし、そこへ新しい才能を流し込むための更地化として機能している。渡辺淳之介はその後も新プロジェクトのオーディションを始動させており、終わらせることと始めることが一続きの設計になっている。(音楽ナタリー 26/05)

壊す勇気が、次のWACKをつくる

アイドルビジネスでは、当たったグループをいかに長く回すかが定石とされる。WACKはその逆を行った。ファンが付き、固定客が見込めるグループでも、役割を終えたと判断すれば畳む。残酷に見えるこの方針の根底には、ブランドは作品ではなく運動だ、という割り切りがある。守りに入った瞬間に熱は失われる。第1期の全解散と合格者ゼロのオーディションは、その思想を最も極端な形で実演してみせた。次に立ち上がる「第2期」がどんな顔をしているのか――壊した分だけ、その振れ幅は大きくなる。

参照ソース(噂の出どころ)

“第1章”終了宣言のWACK、最後のWACK合同オーディション開催(音楽ナタリー、26/03)
WACK合同オーディション2026 現地レポ(StoryWriter、26/03/27)
WACK新プロジェクトのオーディション開催(音楽ナタリー、26/05)

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