ホルムズ海峡リスクが一夜で剥落した
6月の原油相場は、中東情勢の緊迫を映して1バレル90ドル台まで駆け上がっていた。ホルムズ海峡の封鎖懸念がエネルギー供給の生命線を脅かし、世界が身構えていた局面である。それが停戦合意の一報で一気に崩れた。イスラエルとイランの停戦合意をトランプ大統領が表明し、中東情勢の不安定化に伴う石油供給途絶懸念が後退したことで、この日の原油終値は1バレル68.51ドルと前日比6.42ドルの大幅下落となった。(JOGMEC) 地政学リスクは積み上がるのに時間がかかり、剥がれるときは一瞬だという相場の鉄則が、ここでも繰り返された。
「コストプッシュ」が逆回転を始める
原油高はガソリン、電気、食品、物流のすべてを押し上げる。日本のインフレがしぶとく続いた主因のひとつが、この輸入エネルギー高だった。その圧力が抜ける意味は小さくない。原油調達コストの改善は、物価下落を通じた消費者心理の好転と、企業の採算改善という二つの効果に結びつくと見られている。(第一生命経済研究所) 原油安は、家計と企業の両方にじわりと効く「天から降ってきた利下げ」に近い。日銀が動かずとも、コスト面からインフレが冷える経路が開いたことになる。
株式市場には追い風と落とし穴が同居する
原油安は運輸・素材・内需関連には素直な追い風だ。燃料費が下がれば採算は改善し、消費の余力も戻る。ただし楽観は禁物である。足元の日経平均はAI半導体株への偏りが極端で、前日には2565円安と7万円割れを演じたばかりだ。指数を支えてきた一握りの主役が崩れれば、原油安だけでは下落を止めきれない。エネルギーコストの低下という追い風と、一本足相場という構造的なもろさが、同じ市場の中に同居している。
家計が取るべき現実的な構え
原油安の恩恵がガソリン価格や電気料金に届くまでには、数カ月のタイムラグがある。いま店頭価格が下がらなくても不思議はない。そして今回の急落を「恒久的な安値」と勘違いするのは危うい。供給制約はいつでも蒸し返すからだ。原油安は日本にとって貴重な猶予期間を生むが、それは値下げを待つための時間ではなく、エネルギー価格の上下に振り回されない家計と企業体質を整えるための時間だ。この数カ月をどう使うかが、次の原油高で泣くか笑うかを分ける。
参照ソース(噂の出どころ)
イスラエルとイランの停戦により下落する原油価格(JOGMEC 26/06)
イラン攻撃の停止、日本経済のシナリオ〜どうなる原油価格(第一生命経済研究所 26/04)





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