東京のマンション市場でこれまで考えられなかった現象が起きている。新築価格が上がり続ける一方で、中古価格が下がり始めたのだ。長らく「新築も中古も値上がり」が当然だった首都圏で、この二つが逆方向に動き出した。市場の潮目が変わりつつある何よりのサインである。

新築は12カ月連続で上昇

首都圏の新築マンションは、2026年4月の平均価格が8736万円、㎡単価は130.6万円だった。平均価格は3カ月ぶりに1億円を下回ったものの、㎡単価は12カ月連続で前年同月を上回っている。(LIVON/26/06) 建築費の高止まりと用地取得コストの上昇、そして都心での新規供給の細りが、新築価格を下支えする構図は崩れていない。作る側のコストが下がらない限り、新築の値札が大きく下がる理由はない。新築だけを見ていると、市場はまだ右肩上がりに見える。

中古は73カ月ぶりの下落へ

ところが中古に目を移すと景色は一変する。首都圏の中古マンションは2026年5月の成約㎡単価が80.78万円と、実に73カ月ぶりに前年同月を下回った。成約価格も19カ月ぶりに下落している。さらに都心6区では売出し価格が37カ月ぶりに前月比マイナスへ転じた。(ダイヤモンド不動産研究所/26/06) 「売り希望価格」ではなく実際に取引が成立した「成約価格」が下がったことが重要だ。これは売り手の弱気ではなく、買い手がもう高値に付いていかなくなった現実を意味する。

金利が変えた買い手の体力

この逆行を生んだ最大の要因は金利だ。日銀はマイナス金利解除以降、段階的に政策金利を引き上げ、市場では2026年末までに1.0%程度に達するとの見方が出ている。住宅ローン金利の上昇は、買い手が借りられる金額を確実に削る。新築は供給側のコストで価格が維持される一方、中古は買い手の購買力をストレートに反映するため、金利上昇の影響がいち早く成約価格に表れた。つまり今回の二極化は、「売る側の論理」と「買う側の限界」がぶつかった結果である。

二極化が告げる次の局面

新築と中古が逆方向に動く状況は長くは続かない。新築の高値が中古からの買い替え需要に支えられている以上、中古が下がり続ければ、いずれ新築にも下押し圧力がかかる。一律の暴落が来るとは限らないが、立地や築年数によって「上がる物件」と「下がる物件」がはっきり分かれる選別の時代に入ったことは間違いない。値上がりを前提に「とりあえず買えば得をする」時代は終わった。これからは、金利が上がっても買い手がつく価値を持つ物件だけが価格を保つ。新築の強気と中古の弱気が同居する2026年初夏は、その分岐点として記憶されることになる。

参照ソース(情報の出どころ)

【2026年6月】これからマンション価格は下落する?過去の価格推移と変動要因を解説(LIVON/26/06)

東京都中古マンション価格推移 都心3区は成約価格が過去1年で最低に(ダイヤモンド不動産研究所/26/06)

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