利上げしたのに、円は160円から動かない
日銀は6月の会合で政策金利を0.75%から1.0%へ引き上げた。市場は「75%以上の確率で利上げを織り込んでいた」とされ、サプライズではない。(SORA/26/06) 教科書どおりなら利上げは円高要因のはずだ。だが現実のドル円は160円近辺に貼り付いたまま、ほとんど動かない。金利を引き上げても円安が止まらないという、これまでの常識が通じない局面に日本は入っている。ここに2026年の日本経済の不気味さが凝縮されている。
原油高という第二の重し
追い打ちをかけるのがエネルギー価格だ。中東・イラン情勢の緊迫により、WTI原油は1バレル100ドルを突破した。「2025年平均が71ドル前後だったことと比べれば、貿易赤字に再転落するリスクが高い」と指摘されている。(FPメディア/26/06) エネルギーを輸入に頼る日本にとって、円安と原油高の同時進行は仕入れコストを二重に押し上げる。電気・ガス・食品の値上げは、賃金の伸びを越えて家計をじわじわと削っていく。原油高は燃料費だけでなく、輸送費や石油由来の素材を通じてあらゆる製品の価格に転嫁される。しかも円安で同じ1バレルの原油を買うのにより多くの円が必要になるため、ドル建ての原油価格以上に国内の体感物価は跳ね上がる。供給側のコスト増が起点となるこのインフレは、需要を冷やしても収まりにくいのが厄介な点だ。
なぜ利上げが効かないのか
円安が止まらない理由は日米の金利差にある。日本が0.25%上げても、米国がほぼ同じ時期に利下げを止めているため、両国の金利差はほとんど縮まらない。プロの間でも「ドル円は先行き155円程度で推移し、大幅な円高にはなりにくい」との見方が多い。(外為どっとコム/26/05/20) つまり金融政策という一本の手だけで、構造的な円安を反転させるのは難しい。日銀は動いても、相場はそれを織り込み済みなのだ。
家計を襲う「三重苦」
問題は、苦しさが一方向に積み重なる点にある。利上げで住宅ローンや借入れの返済負担は増える。一方で円安と原油高は物価を押し上げ続ける。それでいて賃金の伸びは追いつかず、円の価値も戻らない。金利も物価も上がるのに、家計の手取りと通貨は弱いまま——この三重苦が、2026年後半の生活実感を重くしている。輸入インフレは生活必需品を直撃するため、節約の効きにくい固定費から家計を圧迫する。変動金利で住宅ローンを抱える層にとっては、返済額と物価が同時にじわじわ膨らむ二重の負担となり、倹約だけでは追いつかない局面に近づいている。
景気停滞と物価高が重なる入り口
利上げは景気を冷やし、円安と原油高は物価を上げ続ける。これは景気停滞下のインフレ、すなわちスタグフレーションの典型的な入り口だ。日銀は引き締めと景気配慮の板挟みで、打てる手が限られる。だからこそ個人にできる防御は、外貨・金・高配当株など値動きの異なる資産を組み合わせ、円と国内物価への一点賭けを避けることだ。現預金だけで持てば、物価上昇の分だけ実質的な価値は静かに目減りしていく。輸入物価に連動しやすい外貨建て資産や、インフレ局面で底堅い金、配当で実入りを確保できる株式を一定割合で持つことが、購買力を守る現実的な手立てになる。スタグフレーションは、何もしないこと自体がリスクになる相場だと心得たい。守りの発想が、いまや攻めにも等しい意味を持つ。
参照ソース(噂の出どころ)
スタグフレーションの入り口に立つ日本──原油・円安・日銀ジレンマが交差する今(FPメディア)





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