平均2億円なのに、半数の区が下落
表向き、東京の不動産はまだ高い。2026年3月の23区は70㎡あたり平均2億747万円という水準だ。だが中身を見ると様子が違う。「前年同月比では+9.9%と高水準ながら、上昇は12区にとどまり下落が11区と約半数の区で値下がりし、千代田区や港区といった都心部が下げた」とされる。(マイナビニュース/26/04/21) 全体平均の力強さは、一部の高額物件に引き上げられた数字にすぎず、足元の市場は明確に二つに割れ始めている。
都心3区で起きた急落
象徴的なのが、最も強いはずだったエリアだ。「2026年5月、都心3区の成約価格は前年同月比20.3%減と急落し、過去1年間で最も低い水準を記録した」と報じられている。(ダイヤモンド不動産研究所/26/06) 中古タワーマンションでも「東京都心部の価格が下落した」とのデータが出ている。(マーキュリー/26/06) 長く市場を牽引してきた都心の一角で、潮目が確かに変わりつつある。前年比でなお高く見える区があるのは、超高級物件の成約が平均を押し上げているからにすぎず、一般的な広さの住戸では値引きや長期化が静かに広がっている。表面の平均値と、実際に売買が成立する現場の温度差が、これまでになく開いているのが2026年初夏の特徴だ。
なぜ「売れない」のか
急落の正体は、値段の食い違いだ。売り手は値上がりし続けた数年間の記憶から、強気の希望価格を手放さない。一方の買い手は、金利上昇でローンの総返済額が膨らみ、慎重にならざるを得ない。両者の希望と現実の差が開くほど、交渉はまとまらず取引そのものが止まる。価格がいきなり崩れるのではなく、まず「動かない在庫」が積み上がり、やがて成約価格の下落として表面化する。今はその初期段階にある。
金利上昇が変えた買い手の体力
背景には、29年ぶりの高水準まで上がった金利がある。日銀の政策正常化で住宅ローン金利はじわりと上がり、同じ物件でも月々の負担は数年前より重い。年収に対して借りられる額が縮めば、買い手の出せる上限も下がる。売り手が高値を維持するほど、買える人の数は静かに細っていく。加えて、これまで都心の高額物件を支えてきた投資マネーや海外勢も、金利上昇局面では利回り計算が合いにくくなり、購入の手を緩めやすい。実需と投資の両輪が同時に勢いを失えば、価格を支える買い圧力は一段と弱まる。この需給のねじれが、成約の停滞を長引かせている。
“高値維持”の限界が見え始めた
上がり続けた都心が、ついに「売り手の希望」と「買い手の現実」で割れ始めた。動かない在庫は、最終的には値下げによってしか解消できない。高金利が続く以上、強気一辺倒の価格設定はいずれ通用しなくなる。これから問われるのは、立地や管理状態、資産性といった物件本来の価値だ。誰もが値上がりを期待して買えた時代が終われば、選ばれる物件と見送られる物件の差は一段とはっきりする。売り手は相場の現実を直視した価格づけが、買い手は値下がりに動じない実需目線が、それぞれ求められる局面に入った。2026年初夏は、東京都心の不動産が一本調子の上昇局面を終え、物件ごとの選別が始まった転換点として記憶されることになるだろう。
参照ソース(噂の出どころ)
【2026年3月】東京23区タワマン平均2億円超も…半数の区が値下がり(マイナビニュース)





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