中東情勢が緊迫するたび、市場では古い常識が試される。「有事の円買い」はもう起きない――2026年6月の相場が、それを静かに証明しつつある。

かつて危機のたびに買われた円

リーマン・ショックや震災の局面で、円は「安全通貨」として買われてきた。世界が混乱すると、低金利で借りた円を返す動き(円キャリーの巻き戻し)が起き、円高に振れるのが定石だった。だが今回、米国とイランの応酬で地政学リスクが高まっても、円は買い戻されていない。

2026年、有事に円が売られる構造

背景にあるのは金利差と資源価格だ。「米・イランの攻撃応酬への懸念から、東京市場でもAI・半導体関連株を中心に売りが先行した。(日本経済新聞/26/06/11)」と伝えられる通り、リスク回避は株安として表れる一方、為替は円高に向かわない。日本が依然として超低金利にとどまり、米国との金利差が開いたままだからだ。投資家にとって、混乱時にあえて円を持つ動機が薄れている。

原油高という日本固有の弱点

さらに重いのが原油だ。「ホルムズ海峡封鎖にかかる動きがみられるなど、原油の供給をめぐる問題が世界経済のリスクとなっている。(内閣府/26/03/27)」とされ、原油高は資源を輸入に頼る日本の貿易収支を直撃し、円を売る材料になる。「中東情勢次第で日経平均は下振れと急反発のいずれの可能性もある。(SBI証券/26/03/03)」とされ、原油と地政学が日本市場の振れ幅そのものを大きくしている。

守りの資産は「円」から動いている

かつて危機の避難先だった円は、その役割を金やドルに譲りつつある。中東リスクで反射的に円高を狙う取引は、もはや通用しない。投資家が備えるべきは「有事の円買い」ではなく、原油高と金利差が円安・株安・インフレを同時に呼び込む新しい連鎖だ。2026年の地政学リスクは、円が安全資産でなくなった現実を突きつけている。

参照ソース(噂の出どころ)

日経平均株価、米株安が重荷 米イラン攻撃応酬懸念(日本経済新聞、26/06/11)
中東情勢の緊迫化と原油供給リスク(内閣府、26/03/27)
今後のイランをめぐるシナリオと日経平均の見通し(SBI証券、26/03/03)

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