「有事の金」という常識が揺らいでいる
地政学リスクが高まれば金が買われる──長く信じられてきたこの法則が、2026年に綻びを見せている。中東情勢が悪化した局面で、本来上がるはずの金(ゴールド)価格が、むしろ下落する場面があったのだ。「中東情勢悪化で『有事の金』の価格が下落した。(野村證券ウェルスタイル)」(26/04/16) という見出しが、その異変を端的に物語っている。常識は、すでに通用しなくなりつつある。
なぜ有事に金が売られたのか
理由は二つある。一つは、原油高がドル高と米金利上昇を招いたこと。金利を生まない金は、金利が上がると相対的な妙味が薄れ、売られやすくなる。もう一つは「停戦期待」だ。米国とイランの停戦交渉が報じられると、リスク回避の巻き戻しが起き、国内小売価格は5月下旬に一時25,294円/gまで急落した。有事だから上がるのではなく、有事の「次の展開」を市場が先読みして動く。これが2026年の金相場の正体だ。
ビットコインも「デジタルゴールド」になれていない
同じ構図は暗号資産にも及ぶ。「有事の安全資産」を標榜してきたビットコインは、中東リスクが高まった6月にむしろ売られ、一時6万ドル台すら視野に入る水準まで沈んだ。最高値の約12万6千ドルから半値近い。金もBTCも「有事=買い」では動かない。両者を貫くのは、地政学そのものより「金利とドルの行方」で資金が動くという冷徹な現実だ。
日本の個人投資家がいま確認すべきこと
円安が続く日本では、ドル建て金価格が下がっても円建てでは高止まりしやすい。「有事だから」と高値で飛びつき、停戦報道で急落して慌てる──この往復で損をするのは、物語に乗った個人だ。為替と金利の二つを見ずに地政学だけで売買するのは、もっとも危ういパターンと言える。
守るべきは「物語」ではなく「需給」
もっとも、脱ドル化を進める新興国の中央銀行が金を買い続ける限り、長期の支えが崩れるわけではない。年初の2,657ドルから一時4,500ドル台まで駆け上がった金が、高値圏を保っているのも事実だ。だが「有事だから上がる」という物語に乗って飛びつくのは危うい。2026年に投資家が見るべきは、ニュースの見出しではなく、金利・ドル・実需という需給の三点である。「有事の金」神話は、もう過去のものになりつつある。
参照ソース(噂の出どころ)
中東情勢悪化で「有事の金(ゴールド)」の価格が下落した理由(野村證券ウェルスタイル)(26/04/16)
2026年6月 金価格は今後どうなる?相場に影響する要因や動向(おたからや)(26/06)





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