2兆元、5年間にわたる「国家AI計画」の全貌
6月9日、Bloombergが衝撃的な内容を報じた。中国政府が国家発展改革委員会を中心に、全国規模のAIデータセンター網を構築するため、約2兆元(295億ドル=約44兆円)を5年間で投じる計画を策定中だという。電力網の整備まで含めれば総投資額が5兆元を超える可能性もある。資金の大部分は超長期特別国債で調達し、中国移動(チャイナモバイル)と中国電信(チャイナテレコム)が主要オペレーターとして運用にあたる予定だ。(Bloomberg)
この計画には決定的な条件が付いている。「国産チップを80%以上使用すること」。これは実質的にNVIDIAとAMDを排除し、HuaweiのAscendシリーズが主役を担う設計だ。
なぜNVIDIAを「締め出す」のか
米中の技術デカップリングが進む中、中国がNVIDIA依存を続けることは戦略的リスクそのものだ。2022年以降、米国はH100・A100の対中輸出を禁止し、規制回避版のH20すら2024年に追加禁輸した。これにより中国のAI開発は一時遅延したが、逆にHuaweiのAscend 910B/Cの開発加速というリバウンド効果を生んだ。(Tech Startups)
今回の44兆円計画は「性能で勝てないなら、規模で補う」戦略だ。NVIDIAを排除することで、中国国内のAIサプライチェーンを自己完結させ、輸出規制という地政学的な脆弱性を根本から解消しようとしている。DeepSeekがGPU効率化でモデル品質を引き上げた実績が、この戦略に自信を与えている。
Huaweiは本当にNVIDIAを代替できるのか
HuaweiのAscend 910CはNVIDIA H100の7〜8割程度の性能とされる。製造はTSMCが使えないためSMICの7nm相当プロセスに依存しており、性能密度・歩留まりともにNVIDIAの水準には及ばない。単純な性能比較では、現時点でHuaweiがNVIDIAを「代替」するのは困難だ。
しかし、この計画は完全な代替を目指しているわけではない。「国内AI利用に必要な最低限のインフラを自力で構築し、米国の制裁に左右されない体制を作る」ことが目的だ。44兆円の集中投資が実現すれば量産効果でコストが下がり、Huaweiチップの完成度も急速に上がる可能性がある。
AIの次の覇権はモデルの質だけでなく「インフラの量」で決まる。中国がこの計画を完遂した場合、米国が長年占有してきたAIインフラ優位が、少なくとも国内向けには侵食される。その先に「中国独自のAI規格」がグローバル市場に広がるシナリオは、もはや絵空事ではない。
参照ソース(噂の出どころ)
China Plans $295 Billion Investment to Build Nationwide AI Data Centers – Bloomberg(26/06/09)
China Plans $295 Billion AI Investment Focused on Interconnected Network – Techstrong.ai(26/06/09)





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