欧米では「もう誰もテレビを見ない」

アメリカでは地上波の視聴率が年々下落し、民放の視聴者数はピーク時の3分の1以下になっている。英国のBBCはストリーミングへの移行を急ぎ、韓国ではNetflixとDisney+が地上波を侵食した。ところが日本では2026年の今も、地上波ドラマが話題の中心に居続けている。VIVANT2・GTO復活・蒼井優18年ぶり主演── これらはすべて、従来の地上波ドラマだ。

スポンサーシステムという「日本だけの免疫」

日本の地上波テレビが生き残っている最大の理由はビジネスモデルにある。スポンサー企業が番組単位でCM枠を買い、放映権料をテレビ局に支払う日本型スポンサーシステムは、企業の「地上波CM出稿習慣」と不可分だ。大企業の宣伝担当者が「Netflixに予算を移す」という決断を社内で通すことは、いまだに難しい。新聞・テレビ広告の慣性は、想定より遙かに強い。

「一億総同期視聴」の感覚がまだ生きている

日本のドラマがSNSでバズる瞬間は、決まって放映直後だ。月9や日曜劇場が終わった直後のX(旧Twitter)のトレンドを見れば、いかに多くの人が「同じ時間に同じものを見ている」かがわかる。Netflixは確かに良質なコンテンツを持つが、「今夜みんなで話す」という共時的な体験は提供できない。日本人にとってドラマは、翌朝の会話のネタでもある。

NHKという「不沈空母」の存在

見落としてはならないのがNHKの役割だ。受信料という安定財源を持ち、広告収入に依存しない公共放送が柱として存在する限り、日本のテレビは構造的に崩れにくい。朝ドラ「あんぱん」が平均16.1%を記録したのも、NHKが持つリーチ力の証明だ。民放が弱っても、NHKが残る── それが日本の地上波の最後の防衛線になっている。

2026年夏ドラマ、最後の「ゴールデンエイジ」か

今夏のラインナップは異常に豪華だ。VIVANT2の堺雅人・阿部寛・二宮和也、GTOの反町隆史×生見愛瑠、蒼井優主演の「Tシャツが乾くまで」。これだけの布陣が同時に地上波で並ぶのは、もはや「奇跡に近い」とテレビ業界の内部でも語られている。Netflixへの流出が加速する前に、テレビ局が最後の力を出し切っているのかもしれない。あるいはこれが、日本の地上波ドラマが「普通に強い」ことの最後の証明になるのか── 2026年夏は、その答えの一部を見せてくれるはずだ。

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