株式相場が日経平均6万8000円台という歴史的高値を更新する一方、債券市場では静かな地殻変動が起きている。日本の長期金利は2026年に入り29年ぶりの高水準まで上昇し、10年国債利回りは2.8%を超えた。「ゼロ金利時代の遺物」と思われていた日本国債が、機関投資家の運用先として急速に存在感を取り戻している。

なぜ今、日本国債なのか

答えは単純だ。利回りが「ある」からだ。2023年まで0.5%以下だった10年国債の利回りは、日銀の利上げ継続によって急上昇した。野村証券が2026年6月に公表した日本株見通しレポートでは「日経平均は2026年末に上方修正」としながら、同時に「金利上昇局面で国内債券の魅力が高まっている」と指摘している。(野村ウェルスタイル)

具体的には、年金基金や生命保険会社といった超長期の機関投資家が、株式リスクを下げるリバランス先として日本国債を選ぶケースが増えている。彼らにとって2.8%という利回りは「株式並みのリターンは得られないが、リスクなしで2%台が取れる」という長年の夢だった。

「日本国債は危険」という常識はどこへ行ったのか

2010年代、日本国債はしばしば「火山の火口」と揶揄された。財政悪化と低金利が組み合わさった「日本国債クラッシュ論」は当時の市場でリアルなリスクとして語られた。しかし2026年の現実は異なる。金利が上昇しているということは、国債の利回りが正常化しているということでもある。

もちろんリスクがないわけではない。既発の長期国債を保有している金融機関は、金利上昇によって含み損が積み上がっている。2023年のシリコンバレーバンク破綻と同じメカニズムだ。日本でもこのリスクは顕在化しており、一部の地方銀行が保有国債の評価損を開示し始めている。

個人投資家にとって「今が買い時」なのか

個人向け国債(変動10年)の適用利率は直近で1.08%まで上昇しており、円建て安全資産としては2008年以来の高水準だ。しかし機関投資家が注目する超長期国債(20年・30年)は別の話で、残存期間が長いほど金利上昇による価格下落リスクが大きい。「安全資産」と呼ばれる日本国債が、今や「読み間違えると大きな損をするアセット」になっている。

株式と債券の「新しい関係」が始まる

日経平均が6万8000円台で高止まりする一方、国債利回りが上昇するということは、株式と債券の「正常な競合関係」が戻ってきたことを意味する。これは投資の教科書が想定するポートフォリオ構築の前提だ。

2013年以降の異次元緩和期には「株しか選択肢がない」状況だったが、2026年の投資環境はそれとは根本的に異なる。株式一辺倒だったポートフォリオの見直しが、2026年後半の個人投資家にとって最大の課題になりつつある。日本国債が「主役」に返り咲いた今、資産配分を問い直す好機が来ている。

参照ソース

2026年末の日本株見通しを日経平均株価60,000円に上方修正 – 野村ウェルスタイル

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