市場予測を2.85億ドル超える決算サプライズ
NVIDIAが5月20日、Q1 FY27(2026年5月期第1四半期)の決算を発表した。売上高は816億ドル(約12兆円)と、ウォール街のコンセンサス予測787.5億ドルを大幅に上回った。EPS(1株当たり利益)も1.87ドルと予測の1.70ドルを超えた。(Shacknews)前回Q4 FY26に続く2期連続のサプライズとなり、AI投資の波がいまだ衰えていないことを改めて証明してみせた。
Blackwellがデータセンター収益の「7割」を占める現実
今回の業績を牽引したのは最新アーキテクチャ「Blackwell」だ。データセンター向けコンピュートの実に約70%がBlackwell世代のGPUによるものとなり、前世代のHopperからの移行はほぼ完了した。(Kiplinger)Microsoft・Amazon・Google・Metaが競うようにBlackwell搭載のAIサーバーを積み上げており、NVIDIAはそのすべての「上流」に位置している。AI軍拡競争が続く限り、この構図は変わらない。
投資家が本当に注目すべき「粗利率」の水準
売上高の大幅ビートより、実は粗利率の行方の方が株価には重要だ。Blackwellが量産フェーズに移行する中、製造コストの上昇と顧客への価格転嫁力のバランスが問われている。市場コンセンサスは74.5%、NVIDIAのガイダンスは約75%だった。ここが73%を割り込めば「Blackwellの価格支配力が崩れた」と見なされ、株価は一転して売り材料になりうる。逆に75%以上を維持すれば「AI超サイクル継続」の確認となり、株価を押し上げる。今回の実際の数字がどちらに転んだかが、今後の相場の分岐点だ。
「好決算でも株価が下がる」逆説のリスク
AIバブルと言われながらも業績が伴ってきたNVIDIA。しかし市場はすでに「完璧な決算」を織り込んで株価を形成している。現在の株価は予測PER約35倍で推移しており、少しでも期待を下回れば急落する脆さを持つ。今回はビートしたが、「次のBlackwell Ultra(GB300)」や2027年投入予定の「Vera Rubin」の需要見通しについて少しでも慎重な発言があれば、それだけで市場心理が変わる可能性がある。
Samsungストライキという「最大の死角」
サプライズ決算の裏に、一つのリスクが静かに迫っている。今日5月21日、Samsungで45,000人を超える労働者のストライキが開始された。HBM(高帯域幅メモリ)はBlackwellの性能を決定づける不可欠な部品であり、その供給源の一つがSamsungだ。SK HynixはNVIDIAのメインサプライヤーとしてフル稼働中だが、Samsungが18日間にわたり生産を落とせば、Q2以降のBlackwell出荷計画に影響が出かねない。今決算で最も注目すべきは数字の大きさではなく、サプライチェーン全体の「最も細い部分」がどこにあるかだ。NVIDIAは史上最高の収益を出しながら、足元の地面が揺れている。
参照ソース
NVIDIA (NVDA) Q1 FY27 earnings results beat revenue and EPS expectations(Shacknews, 26/05/20)
Nvidia Earnings: Live Updates and Commentary May 2026(Kiplinger, 26/05/20)





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