「AI PC」というラベルが市場を混乱させている

2026年のPC市場を語るうえで避けられないキーワードが「Copilot+ PC」だ。MicrosoftはNPU(ニューラル処理ユニット)を搭載したWindowsノートPCにこのラベルを付け、「AI時代のPCはこれだ」と訴えてきた。しかし現実はやや異なる。Copilot+ PCの認定には40TOPS以上のNPU性能が必要で、当初はQualcommのSnapdragon X搭載機のみが対象だった。2025年後半からIntelやAMDの新チップ搭載機も加わったが、すべてのCopilot+機能がすべての機種で動くわけではない。「AI PC」と書いてあっても、自分の機種では対象外の機能が多い──という状況が今も続いている。

目玉機能「Recall」が象徴するギャップ

Copilot+ PCの目玉として発表された「Recall(リコール)」は、PCの操作履歴をAIが記憶して後から検索できる機能だ。しかしプライバシーへの懸念から大幅に遅延し、2025年末になってようやく段階的なロールアウトが始まった。現在もオプトイン方式で、実際に有効化しているユーザーは少数にとどまるとされる。つまり「AI PC」として購入したにもかかわらず、多くのユーザーはその代表的なAI機能を実際には使っていないという状況だ。

MacBook Air M4が売れ続ける本当の理由

この状況の中で、2025年3月に発売されたMacBook Air M4は依然として高い支持を集めている。AI機能の前に「基本性能」「バッテリー持続時間」「本体の薄さと軽さ」という3要素で競合を圧倒しているからだ。

M4チップはCPU性能でSnapdragon X EliteやCore Ultra 200Hと互角以上の結果を示す。バッテリーは公称18時間で、実使用でも12〜14時間を確保できるとされる。ファンレス設計のAirモデルであっても、日常的なビジネス用途ではサーマルスロットリングが体感されにくい。この点はWindowsのスリムノートPCとの差がいまだに埋まっていない部分だ。

エコシステムが「乗り換えコスト」を高くしている

もう一つ見逃せないのがAppleエコシステムの存在だ。iPhone・iPad・Apple Watchとのシームレスな連携は、競合製品が容易には真似できない体験を提供している。iPhoneのミラーリングやHandoff、AirDropといった機能は、一度使い慣れると手放しにくい。Copilot+ PCがどれだけAI機能を訴求しても、「自分の日常に関係ない」と感じるユーザーには響かない。

MacBook Air M4は「余計な機能の前に、基本がきちんとしている」という信頼感で売れ続けている。2026年のPC市場においてAI機能は確かに重要なトレンドだが、それが本当に「使われているか」という問いに向き合わなければ、スペックシートの数字は絵に描いた餅に過ぎない。

参照ソース

Googlebook: Google’s New Gemini-Powered Laptop to Replace Chromebook – AluminiumOS
Google Aluminium OS: ChromeOS Is Being Replaced – Tech Journal

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