2026年3月、AIブラウザ「Comet」が登録不要・サブスクなしで全世界に一斉開放された。Perplexityが開発したこのブラウザは、試験運用期間のウェイトリスト制を一気に終わらせ、誰でも即日使えるプロダクトへと変貌を遂げた。その背景には、Googleの検索覇権に対する正面からの挑戦がある。
AIが代わりにウェブを「動く」という新体験
Cometが従来のブラウザと一線を画すのは「エージェント型」の設計にある。ユーザーがタスクを文章で指示すると、ブラウザ自身が複数サイトを開き、情報を収集し、まとめて回答する。「5月の沖縄旅行で最安値の航空券を探して」と入力すれば、Cometが複数の予約サイトを巡回し、条件に合う選択肢を一覧化してくれる。
キーワードを入力→リンクを開く→読む→比較するという検索体験は、ここでは完全に消えている。(Perplexity公式ブログ)
Googleの収益モデルに直撃する理由
なぜこれがGoogleへの脅威なのか。Googleの年間収益の約8割は検索広告から生まれており、ユーザーが検索結果ページに留まり、広告リンクをクリックすることで収益が発生する構造だ。ところがAIエージェントがユーザーの代わりにウェブを回ると、広告は表示されても「クリックされない」状態になる。Cometが普及すれば、Googleの広告収益モデルそのものが侵食される計算になる。
Perplexity自身もすでに検索市場でGoogleを脅かす存在になっており、AIによる回答生成で従来の「10個のリンク一覧」型検索の需要を切り崩してきた。Cometはその延長にある次の一手だ。
Googleの防衛戦略──ChromeのAI化
Googleが黙っていたわけではない。2026年1月28日、Chrome向けに「Auto Browse」機能をリリースした。Gemini 3を搭載し、Chromeが自律的にページをスクロール・クリック・フォーム入力できるエージェント機能だ。「Cometが新市場を作る前に、Chromeを同じ土俵に引き上げる」防衛戦略と読める。
さらに5月19日から開幕するGoogle I/O 2026では、Gemini 4を中心に検索とAIのさらなる融合が発表される見通しだ。「検索エンジンとしてのGoogle」が「AIエージェントのプラットフォームとしてのGoogle」へと再定義される瞬間になるかもしれない。(Android Authority)
Cometの弱点──セキュリティリスクという死角
一方、Cometには重大な懸念もある。セキュリティ研究者がCometの実装に脆弱性を発見し、悪意あるWebコンテンツを通じてAIの動作を外部から誘導できる攻撃手法を公表した。(Cybernews)エージェント型ブラウザの強みは「AIが代わりに動く」ことだが、その裏には「AIが代わりに騙される」リスクが潜む。パスワード入力や決済操作を任せる前に、セキュリティ面の成熟を冷静に見極めることが重要だ。
AIブラウザ市場の覇権をめぐるGoogleとPerplexityの攻防は、2026年のテック業界で最も注目すべき戦争のひとつになりそうだ。
参照ソース(噂の出どころ)
The Internet is Better on Comet – Perplexity(26/03/23)
Perplexity Comet browser review 2026 – Cybernews
What to Expect from Google I/O 2026 – Android Authority





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