「日テレ史上初の規模」で挑む駅伝ドラマ
この秋のドラマで、規模の話題という点では頭ひとつ抜けている一本がある。大泉洋が主演を務める『俺たちの箱根駅伝』だ。10月10日から日本テレビ系の土曜21時枠でスタートするこの作品は、制作陣が「日テレ史上初の規模」「予算も本当に大変なことになっている」と口を揃えるほどの力の入れようだという。原作は『半沢直樹』などで知られる池井戸潤の同名小説で、実際の箱根駅伝を舞台に、予選会からのし上がろうとする大学チームを描く。(NewsCafe・26/09/10)
なぜ今、スポーツ実話系に巨額を投じるのか
正直に言えば、駅伝という題材は地味だ。派手なアクションも恋愛の起伏もない。それでもテレビ局が大きな予算を張るのは、駅伝が持つ「毎年正月に数字を叩き出す国民的コンテンツ」という強さを、ドラマ側に引き込めるからだ。走りのシーンをごまかしなく撮ろうとすれば、ロケも人員も本物の競技に近づく。逆に言えば、そこで手を抜けば一発で見抜かれる題材でもある。制作側があえて規模を強調するのは、リアリティに逃げ場がないと分かっているからにほかならない。
「土曜9時」という選択の意味
面白いのは、この作品が日曜劇場ではなく日テレの土曜ドラマ枠だという点だ。池井戸潤原作というと反射的に日曜劇場を思い浮かべる人が多く、大泉洋自身も舞台挨拶で「“日曜劇場”との勘違い」を危惧してみせたという。「そこには別班がいます」と笑いを誘ったこの一幕は、原作ブランドの強さと、それを別の枠でやり切る覚悟の両方をにじませていた。日曜劇場の重厚さとは違う、土曜夜のエンタメとしての疾走感をどう出すかが見どころになる。(映画ナタリー・26/09/10)
数字より、走りの説得力で決まる
結局のところ、この手の作品の成否は初回の視聴率よりも、走るシーンをどれだけ本気で撮れたかで決まる。巨額の予算も「日テレ史上初」の看板も、画面のなかの一歩に説得力がなければ意味をなさない。逆に、選手の息づかいや沿道の熱がきちんと伝われば、駅伝を知らない層まで巻き込める。大泉洋という、笑いも涙も自在に操れる主演を据えたのは、その説得力を人間ドラマの側から支えるためだろう。派手さで勝負しない題材に大金を張った以上、問われるのは「本物に見えるか」の一点に尽きる。




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