発売から2カ月、静かに定着し始めた箱

今年6月に発売されたValveの小型ゲーミングPC「Steam Machine」が、2カ月を経てじわりと評価を固めつつある。海外では6月23日に販売が始まり、日本でも6月末に予約と販売がスタートした。価格は512GBモデルが税込18万9980円、2TBモデルが税込24万9980円。手のひらに乗るキューブ型の筐体に、携帯機Steam Deckの6倍以上という性能を詰め込んだ一台だ。(AUTOMATON/26/06/23)。この製品が面白いのは、性能や価格そのものより、ゲーム機とPCの境界に新しい椅子を一つ置いてみせた点にある。

逆ザヤをしない、という珍しい選択

家庭用ゲーム機は長らく、本体を原価割れで売り、ソフトのロイヤリティで回収する「逆ザヤ上等」のビジネスで回ってきた。ところがValveはその王道をあえて選ばなかった。Steam Machineは「原価ギリギリまで攻めているが、赤字にはしない価格設定」で、本体販売で損を出してまで台数をばらまく戦略を取らないと報じられている。(AUTOMATON/26/06/23)。この一点に、Valveの立ち位置がよく表れている。プラットフォーム手数料で潤沢に稼ぐ同社は、ハードで無理に安売りする必要がない。ハードは、あくまでSteamという庭に人を招くための門なのだ。

PS5でもゲーミングPCでもない、その中間

Steam Machineの正体は、PS5のような閉じた家庭用機でも、自作前提のゲーミングPCでもない。SteamOSを積み、テレビにつないでコントローラーで遊べる手軽さを持ちながら、中身はあくまでPCで、Steamの膨大なライブラリがそのまま動く。組み立ての知識も、パーツ選びの悩みもいらない。一方でHDMI2.1に非対応といった割り切りや、SteamOSで動くタイトルの制限など、買う前に知っておくべき癖もある。(iyTech/26/08)。この中途半端さこそが狙いで、PCの自由さと据え置き機の気軽さのちょうど中間を埋めにきている。

AI PCの喧騒の外にある「遊ぶためのPC」

この半年、PC売り場はNPUだのAI PCだのという看板であふれ、肝心の中身が伴わない製品が氾濫してきた。その喧騒の外で、Steam Machineは「このPCで何ができるか」を一言で説明できる。テレビの前に置いて、Steamのゲームを快適に遊ぶ。それだけだ。用途が明快なハードは強い。Valveが逆ザヤを避けてなお勝負できるのは、庭であるSteamがすでに巨大だからであり、他社が容易に真似できない構造でもある。据え置きゲーミングPCという第三のカテゴリが根づくかどうかは、この明快さを普及台数に変えられるかにかかっている。見るべきはスペック表の数字ではなく、リビングのテレビの前という一等地を、この静かな箱がどれだけ奪えるかだ。

参照ソース(噂の出どころ)

Valveの新小型ゲーミングPC「Steam Machine」いきなり販売開始(AUTOMATON/26/06/23)「Steam Machine」は原価ギリギリだが赤字にはしない価格設定(AUTOMATON/26/06/23)Steam Machine 発売後レビューまとめ(iyTech/26/08)

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