この夏、脱退のニュースに増えた言葉
アイドルがグループを離れるとき、かつては決まって「卒業」という言葉が使われた。青春の一区切り、笑顔で送り出す一大イベント。ところがこの8月、小規模グループの発表を眺めていると、別の言葉がやけに目につくようになった。「契約満了」「契約解除」だ。感情のこもった卒業ではなく、期限が来たから終わる、という乾いた言い回しが、当たり前に並ぶようになっている。
相次ぐ離脱と、その言葉づかい
実際、8月の離脱発表は数も多く、言葉も一様ではない。MEOWMEWは8月8日付で長田愛来の活動終了・脱退を、LOVE PANIC!は8月18日付で愛瀬あのねの脱退を発表した。acro-Aは8月19日付でサポートメンバーとの契約を解除し、Qu♡Alyは複数メンバーが契約満了により9月に卒業すると告知している。(IDOL REPORT.com/26/08)。「卒業」と「契約満了」が同じ月に入り混じる。この語感の揺れこそ、いま業界で起きている変化そのものだ。
ロマンの言葉から、労働の言葉へ
言葉が変わったのは偶然ではない。地下・小規模アイドルの現場は、この数年で急速にビジネスとして整理されてきた。かつては夢を共有する運命共同体という建て付けだったものが、期間を定めた契約で人を集め、満了で入れ替える仕組みへと近づいている。運営にとっては採算とリスクを管理しやすくなり、演者にとっては辞めどきが契約という形で可視化される。感情の共同体から、労働契約へ。プロ化と言えば聞こえはいいが、その本質は活動の脱ロマン化だ。
それでも「卒業」を手放せない理由
もっとも、契約という言葉ですべてが割り切れるわけではない。今年5月に結成された7人組が、事務所の事業継続困難を理由に結成わずか5カ月で電撃解散し、メンバーが給料未払いを告白する事態も起きている。(Infoseek(日刊スポーツ)/26/08/09)。契約という言葉は、うまくいけば健全な区切りになるが、破綻すれば冷たい打ち切りにもなる。ファンが応援してきたのは契約ではなく人であり、そこにロマンがある限り「卒業」という言葉は消えない。この夏の語感の揺れは、アイドルという文化が、感情の物語とビジネスの契約のどちらで人を送り出すのか、まだ答えを出せずにいる証拠だ。健全化の名のもとに言葉を乾かしすぎれば、応援そのものが冷めていく。業界が守るべきは契約書の体裁ではなく、辞めていく側とファンの双方が納得できる終わり方のほうである。
参照ソース(噂の出どころ)
メンバー加入・卒業・脱退・解雇(IDOL REPORT.com/26/08)/7人組アイドル、結成5カ月で電撃解散…メンバーは給料未払い告白(Infoseek・日刊スポーツ/26/08/09)




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