上がり続けることが当たり前だった東京のタワーマンション相場に、これまでとは質の違う変化が現れている。全体では依然として歴史的な高値圏にありながら、これまで市場を牽引してきた最高値エリアで価格が下落に転じ始めたのだ。上昇一辺倒だった局面は終わり、買い手が物件を厳しく選ぶ「選別相場」へと移りつつある。
数字はまだ高い、しかし勢いは鈍った
2026年第1四半期の東京23区の中古タワーマンション平均価格は、70㎡換算で2億747万円と前年同月比9.9%の上昇を記録した。数字だけ見れば力強い。だが前月比ではわずか1.3%の微増にとどまり、23区の約半数で値下がりが確認されている。上昇率の大きさと、足元の失速が同居しているのが今の相場だ。(マーキュリー)
象徴的なのが、これまで最も高値をつけてきたエリアの反落である。70㎡換算で3億円を超える千代田区や、都心の代名詞である港区で、2026年に入り価格が下落に転じた。相場を引っ張ってきた先頭集団が息切れし始めた、という構図だ。(GFS)
「タワマンなら何でも上がる」時代の終わり
ここ数年のタワマン市場は、立地や築年数を問わず、買っておけば値上がりするという神話に支えられてきた。だが最高値エリアの下落は、その神話が通用しなくなったことを示している。市場全体が一様に上がる相場から、物件ごとに明暗が分かれる相場へ。同じタワマンでも、選ばれるものと見送られるものの差が、はっきり開き始めた。
専門家の見立ても「上昇相場」から「選別相場」への移行という表現で一致している。新築は建設コストの高止まりでプレミア価格が続く一方、中古は立地や管理状態、資産性への評価がシビアになる。裏を返せば、価格が下がった最高値エリアほど、割高感が意識され始めたということだ。高ければ高いほど売れる時代は、静かに幕を閉じつつある。
金利上昇が「選別」を加速させる
この選別を後押ししているのが、金利のある世界の到来である。住宅ローン金利が切り上がれば、億単位の物件を借入で買う際の負担は確実に重くなる。買い手は返済シミュレーションを厳しく引き直し、価格に見合う価値があるかをこれまで以上に問うようになる。金利上昇局面では、割高な物件から先に買い手が離れていくのが自然な流れだ。
つまり最高値エリアの下落は、単発の調整ではなく、金利と買い手心理の変化が重なった構造的な転換点と見るべきである。全体の平均価格が高いことに安心してはいけない。平均の裏側で、上がる物件と下がる物件の二極化が着実に進んでいる。
これから見るべきは「価格」より「選ばれる理由」
タワマン相場はまだ高値圏にある。しかし最高値エリアが下落に転じたいま、市場のフェーズは明確に変わった。これから買う人も持っている人も、注視すべきは平均価格の桁ではなく、その物件が選別相場で選ばれ続ける理由を持っているかどうかだ。立地、管理、そして金利環境に耐える資産性。この三つを満たす物件だけが、次の相場でも価値を保つと見るべきである。





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