強気予想の裏に潜む「但し書き」

7月末、日本株に強気の号砲が鳴った。野村證券が日経平均株価の見通しを2026年末6万8000円へ上方修正し、AI・半導体の好業績を反映したと説明したのだ。TOPIXも同年末4200を見込み、値上げと自社株買いによるEPS拡大が牽引する「業績相場」を想定している。(NOMURA ウェルスタイル/26/07) 史上最高値圏を大きく上抜けるこの数字は、たしかに景気の良い話に見える。だが同じレポートには、見過ごしてはならない但し書きが添えられていた。

「全部は上がらない」という前提

野村が繰り返し強調しているのは、選別投資の重要性だ。すべての企業やセクターが、ROE改善や成長投資、株主還元、事業ポートフォリオの最適化を適切に進められるわけではない、という指摘である。つまり指数が上がるからといって、そこに乗っている全銘柄が潮に押し上げられる時代ではない。指数は最高値を更新しても、中身では勝ち組と負け組がくっきり分かれる──これが「選別相場」の正体だ。指数だけを見て安心する投資家が、いちばん足をすくわれやすい局面に入りつつある。

好決算でも売られる、という現実

この選別は、7月の決算シーズンで既に姿を現していた。大手半導体関連の決算が相次ぐなか、好調な業績は既に株価に織り込まれており、市場は見通しや経営者コメントに現れる変化の予兆を見逃さないよう注視している、という空気が広がっている。(FPtrendy/26/07/08) 実際サムスン電子が7月7日に第2四半期のガイダンスを公表した後、メモリー半導体関連株には売りが出た。これはAI需要が弱まったのではなく、一部銘柄に高すぎる成長期待が織り込まれていたことを示す動きだ。

数字より「発注のタイミング」を見る

AI相場では、特定企業の株価が上がり続けることと、AI需要が強いことは同じではない。売上、利益率、在庫、設備投資、顧客の発注タイミングがそろって初めて、期待が業績に変わる。ここが今の相場を読む肝だ。強気の指数予想は、裏を返せば「選ばれる銘柄」と「置いていかれる銘柄」の差が過去より大きく開くというサインでもある。

6万8000円という数字に浮かれるべきではない。野村の予想が本当に告げているのは、日本株の上値余地ではなく、指数と個別株の断絶が広がる時代の到来だ。これからの投資で問われるのは「上がるか下がるか」ではなく、「どれが選ばれるか」を見極める目である。

参照ソース(情報の出どころ)

日経平均株価見通しを2026年末68,000円に上方修正 – NOMURA ウェルスタイル(26/07)
AI相場は次の選別局面へ、半導体株を揺らす決算とインフラ投資 – FPtrendy(26/07/08)

コメントを残す

Trending