「AIパソコン」という言葉が広まって2年近く。その中核にあるはずのArm版Copilot+ PCは、鳴り物入りで登場したわりに、いまだ市場の主役になれていない。Windowsといえばインテルという長年の常識を崩せず、伸び悩んできたのが実情だ。だが799ドルという価格を引っさげた新型が、ようやく普及を阻んできた壁を崩しにかかっている。

Armパソコンが売れなかった理由

QualcommのSnapdragonを積んだArm版Windowsは、省電力とバッテリー持ちで確かな強みを持つ。それでも普及が進まなかった背景には、大きく2つの壁があると指摘されてきた。「本格普及を阻んだ2つの壁を乗り越えられるか」が問われている状況だ。(日経クロステック/26/07)

ひとつはアプリの互換性だ。x86向けに作られた既存ソフトがArm上ですべて快適に動くとは限らず、業務で使うツールに不安が残れば、企業も個人も乗り換えをためらう。もうひとつは価格だ。初期のCopilot+ PCは20万円を超える高価格帯からのスタートで、省電力という利点だけで割高感を納得させるのは難しかった。

799ドルという回答

この2つ目の壁に対して、メーカーは明確な答えを出してきた。新型のArm版Copilot+ PCは、Snapdragon X Plusを搭載しつつ価格を大幅に引き下げ、799ドル、国内でおよそ15万円前後の水準まで下りてきた。2024年モデルが20万円超からだったことを思えば、下げ幅は小さくない。SurfaceシリーズもProは12型、Laptopは13型へと小型化し、持ち歩きやすさと手頃さを前面に押し出している。

HPのOmniBook、ASUSのZenbook、そしてMicrosoft自身のSurfaceと、選べる機種も増えた。かつて「高いのに動かないアプリがある」と敬遠された構図は、少なくとも価格の面では確実に改善している。

互換性の壁は静かに低くなった

残るアプリ互換性についても、事情は変わりつつある。Armネイティブ対応のソフトが着実に増え、エミュレーションの性能も世代を追うごとに向上した。日常的なブラウザ作業やオフィス用途、Web会議といった多くの人の実際の使い方であれば、互換性を気にする場面はかなり減っている。NPUを生かしたAI処理という、インテル機に対する明確な差別化要素も手にした。壁は消えてはいないが、以前より確実に低い。

価格が下りた今が分岐点

Armパソコンが普及しなかったのは、技術が劣っていたからではなく、価格と互換性という現実的な壁を越えられなかったからだ。その両方が同時に崩れつつある今こそ、本当の分岐点だ。バッテリーが一日持ち、AI処理を手元でこなし、しかも15万円前後。この条件がそろったArm機は、もはや「尖った人向けの実験機」ではない。次にノートを買い替えるなら、Armという選択肢を外す理由は、着実になくなりつつある。

参照ソース(噂の出どころ)

Copilot+ PCにARM搭載の新型、本格普及を阻んだ2つの壁(日経クロステック/26/07)
Copilot+ PC AIパソコンで新しい時代へ(ソフマップ/26)

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