暗号資産の価格が下がると、決まって理由が探される。中東情勢、規制、脆弱性。どれももっともらしいが、今回の下げをそれらで説明しきるのは無理がある。むしろ目立つのは、上げる材料が一つも残っていないという事実のほうだ。
1250万円から990万円台へ
4月から5月にかけて1BTC=1250万円前後で推移していた相場は、7月初旬に990万円台まで下落し、1000万円の大台を割り込んだ。(マイペース投資のススメ 26/07)
約2割の下落だ。数字だけ見れば暗号資産としては珍しくもない振れ幅だが、問題は落ち方ではなく落ちた後の動きがないことにある。2割下げた資産は、通常なら押し目買いが入って一度は跳ねる。今回はその跳ね返りが弱い。
売り手の顔ぶれが変わった
月初は米・イラン交渉の先行き不透明感に加え、ストラテジーによるBTC売却が伝わり、需給悪化への警戒から売りが先行した。その後もZCASHの脆弱性問題を受けて市場全体のセンチメントが悪化し、月足は大幅続落となった。(ビットバンクプラス 26/07)
ここで見るべきはストラテジーの売却だ。この数年、ビットコインの物語を支えてきたのは「企業のバランスシートに載る資産になった」という一点だった。買い増しを続ける法人が需給の下支えになり、価格が下がっても売らない層として計算されてきた。その層が売る側に回ったなら、話の前提が崩れる。
下落の理由として挙げられる中東情勢や脆弱性は、いずれも一過性の材料だ。一過性の材料で下げた相場は、材料が消えれば戻る。戻らないということは、下げの主因が別のところにあるということになる。
200週線という最後の拠り所
テクニカルでは200週移動平均線での値固めが模索されているとされる。長期の押し目の目安として繰り返し参照されてきた水準だ。ただ、この線が意識されること自体が、短期・中期の買い材料が尽きた状態を示している。
相場が「200週線で反発するはず」という論法に頼り始めたら、それは需給や業績で説明できる根拠がなくなったサインだ。株式でいえば、PERでも成長率でもなく「そろそろ下げすぎだから」で買う局面に近い。
反転条件が全部「外部要因」になっている
現在の下落はリスクオフが主因であり、イラン情勢の鎮静化、FRBの利下げ再開、ETFへの資金流入再開といった条件が改善すれば反転の可能性があるとされている。(Crypto Trillion 26/07)
この整理は正しいが、同時に致命的でもある。挙げられた三つの条件は、どれもビットコインの外側で決まる。地政学、金融政策、他人の資金フロー。ビットコイン自体が何かを達成することで上がる、という道筋が一本も含まれていない。
資産として成熟したと言えば聞こえはいいが、実態は米金利と地政学に連動する高ベータの器になったということだ。半減期のような内的なイベントで語れた時代は終わっている。
見るべきは価格ではなく、上がる理由の在庫
1000万円割れという数字は分かりやすい見出しになるが、投資判断としてはほとんど情報量がない。重要なのは、いま手元にある「上がる理由」の在庫がどれだけ残っているかだ。企業の買い増しは細り、規制の追い風は一巡し、ETFの初期流入も終わった。残っているのはFRBの利下げ待ちだけである。
そしてFRBの利下げで上がるなら、それは株でも金でも同じように上がる。わざわざボラティリティの高い資産で取りに行く理由にはならない。いま買うかどうかを決める材料は、価格が安いかどうかではなく、この資産固有の上昇理由が一つでも見つかるかどうかだ。それが見つからないうちは、安いという事実だけでは買う根拠にならない。
参照ソース(噂の出どころ)
ビットコイン(BTC)相場分析|BTC月足は大幅続落 200週線で値固め模索か:7月のBTC相場(ビットバンクプラス)





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