ピークから20%という節目

フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が6月下旬に付けた最高値から20%下落し、弱気相場入りの目安に到達した。7月17日の取引では3日続落となり、指数は1.6%安で引けている。(Bloomberg/26/07/17)

ただし下落率だけを見ても実態はつかめない。この指数は3月に付けた安値から6月のピークまで105%上昇していた。3ヶ月あまりで2倍になった相場が1ヶ月で2割戻したにすぎず、年初来では依然として大幅なプラス圏にある。異常だったのは下げ方ではなく、上げ方のほうだ。

上昇の燃料はメモリー一色だった

この2倍相場を押し上げたのはメモリー需要の急拡大である。AIデータセンター向けの高帯域メモリーが逼迫し、価格改定のたびに関連銘柄が買われる構図が続いた。裏を返せば、値上がりの根拠がメモリー市況という単一の変数に集中していたことになる。

だから崩れ方も一様ではなかった。6月下旬のピーク以降、マーベル・テクノロジー、アーム・ホールディングス、インテルはいずれも30%超下げている。指数の20%より個別の下げが深いという事実は、売られたのが半導体全体ではなく、期待が最も先行していた銘柄群だったことを示す。(Bloomberg/26/07/18)

マクロは崩れていない

景気側の数字はむしろ落ち着いている。6月の米消費者物価指数は前月比0.4%低下、生産者物価指数も0.3%低下し、小売売上高は0.2%増だった。物価が鈍化する一方で消費は保たれており、景気後退を織り込む局面ではない。(外為どっとコム マネ育チャンネル/26/07/17)

マクロが健全なのに半導体だけが2割落ちるという状況は、これが景気の調整ではなく評価の調整であることを意味する。市場は半導体が売れなくなると予想したのではなく、半導体に払っていた価格が高すぎたと判断し直した。

試されるのは7月22日

その判断が正しかったかを確かめる材料が、アルファベットとテスラの4〜6月期決算になる。両社は7月22日の米国市場終了後に発表を予定しており、アルファベットでは広告とクラウドに加えてAI関連投資の水準が、テスラでは利益率と販売見通しが焦点となる。

半導体株にとって重要なのは売上高そのものではなく、投資計画の言い回しである。データセンター投資を積み増すと明言すればメモリー需要の前提は維持され、投資効率を重視すると表現を変えれば、今回の20%下落は入口にすぎなくなる。

見るべきは戻り幅ではなく買われる順番

反発局面が来たとき、指数が何%戻ったかを追っても意味は薄い。確認すべきは、戻る銘柄が下げ幅30%超の高期待組なのか、それとも実需に近い製造装置や電源系なのかという中身だ。前者が戻るなら物色は変わっておらず同じ振れ幅を繰り返す。後者が先に戻るなら、市場の採点基準がAI投資額から回収の確度へ移ったことになる。

3ヶ月で2倍になる相場は、そもそも持続を前提に設計されていない。今回の弱気相場入りは、その当たり前が思い出されただけの出来事であり、半導体の需要そのものが折れた証拠ではない。危険なのは、2倍になった時期の株価を基準に割安か割高かを判断してしまうことである。

参照ソース(噂の出どころ)

米半導体株指数が3日続落、弱気相場入りへ-驚異的上昇ペース急失速(Bloomberg)
「DeepSeekショック」再来を警戒-半導体株指数、最高値から20%下落(Bloomberg)
S&P500 来週の見通し|好決算でも上がらない?(外為どっとコム マネ育チャンネル)

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