日経平均が6月25日の最高値から10%を超えて下落した。数字の上ではこれは「調整」と呼ばれる領域に足を踏み入れたことを意味する。だが今回の10%は、いつもの押し目とは性格が違う。売られたものと、買い戻される理由が噛み合っていないからだ。
高値から10%、その内訳
直近の相場は調整局面にあり、日経平均は先週急落して前日比2,694円(4.0%)安の64,141円で終え、6月25日の最高値からの下落率が10%を超えたと報じられている。(日本経済新聞)
10%という数字は市場関係者にとって心理的な節目だ。ここまでは健全な調整、ここから先は弱気相場の入口、という慣習的な線引きがある。問題は、その線に到達するまでにかかった時間が異常に短いことだ。6月末の高値からわずか3週間強でこの水準まで落ちている。ゆっくり冷えたのではなく、一気に剥がれた。剥がれ方が速いということは、そこに乗っていた資金が確信ではなく勢いで乗っていたということでもある。
反発観測の根拠が「自律反発」しかない
7月20〜24日の週は日本株が反発しそうで、取引開始は連休明けの21日となり、直近で売りが目立ったAI・半導体関連株に自律反発狙いの買いが入りやすいとされている。(日本経済新聞)
ここは冷静に読む必要がある。反発の理由として挙げられているのは「下げすぎたから」であって、業績が上向いたからでも、需要が確認されたからでもない。自律反発とは、要するに買う理由が価格そのものしかない状態を指す言葉だ。それが唯一の前向き材料として語られている時点で、下げの原因はまだ解消されていないと読むのが素直だろう。
為替が助けてくれない相場になった
為替については、米連邦準備理事会の利上げ観測後退を受けたドル売り圧力が続き、円の下値は限られそうだと見られている。(日本経済新聞)
これは日本株にとって微妙な材料だ。従来なら米金利の低下は株の買い材料だったが、同時に進む円高方向の圧力は輸出企業の採算を削る。そして今の日経平均を動かしているのは自動車でも機械でもなく、AI・半導体という一群だ。この銘柄群の値決めは、円相場よりも米国のAI投資が続くかどうかで決まる。つまり、為替という従来の緩衝材が効かない構造になっている。指数が円安で自動的に持ち上がる時代は、少なくともこの局面では終わっている。
強気見通しは撤回されていない、それが厄介だ
一方で証券会社の中長期見通しは強気を維持しており、2026年末の日本株見通しを日経平均60,000円へ上方修正した例や、上振れシナリオでは2026年末に7万円台突破という予想も出ている。(NOMURA ウェルスタイル)
注目すべきは、現在値の64,141円がすでに年末目標の60,000円を上回っているという事実だ。つまり10%下げてなお、多くの機関投資家の想定レンジの上側にいる。「暴落したから割安」という直感は、この一点で成立しない。下げたのは価格であって、割高さそのものが解消されたわけではないのだ。
見るべきは戻り幅ではなく、戻る銘柄
21日以降の相場で確認すべきなのは、日経平均が何円戻したかではない。戻したのがどの銘柄かだ。売られたAI・半導体がそのまま戻るなら、市場はまだAIテーマを主軸として認めている。逆に、戻りが内需や高配当に偏るなら、資金は主役を降ろす作業に入ったことになる。指数は同じ水準に戻っても、中身が入れ替われば相場は別物だ。
今回の10%は、下げの深さより入れ替えの有無を測る物差しとして見るべきである。数字が戻ることと、相場が元に戻ることは、まったく別の事象だ。
参照ソース(噂の出どころ)
日経平均株価は反発か、円は下値限定も 今週の市場・予定|日本経済新聞(26/07/19)
日経平均株価は反発か、円は下値限定も|日本経済新聞(26/07)
日経平均株価の見通しを上方修正|NOMURA ウェルスタイル(26/07)





コメントを残す