1000円超の急伸で迎えた「答え合わせ」の日

2026年7月15日の東京市場は、日経平均が一時1000円を超えて上昇し、6万8700円台まで水準を切り上げて始まった。前日の米市場で半導体株が主導してハイテクが買われ、その流れをそのまま引き継いだ格好だ。米6月の消費者物価指数が市場予想を下回り、インフレ警戒が後退したことも追い風になった。だが、この日の本当の主役は東京にはいない。日本時間の午後、オランダの露光装置メーカーASMLが四半期決算を発表する。日経平均の高揚も、その一報を前にした「先取り」に過ぎない。

EUVを独占する「1社」が握る生殺与奪

ASMLがなぜこれほど重要なのか。最先端半導体の製造に不可欠なEUV(極端紫外線)露光装置を、世界で唯一つくれるのがこの会社だからだ。AI向けの高性能チップも、需要が爆発しているHPCメモリも、ASMLの装置なしには量産できない。つまりASMLの受注状況は、世界中のハイパースケーラーがAIインフラにどれだけ本気で金を張り続けるかを映す鏡になる。「EUV露光技術を独占する世界唯一のメーカーとして、ASMLの業績は世界的なAIインフラ投資の強気度を測る重要な指標となっている。(TradingKey/26/07)」という位置づけは誇張ではない。ウォール街はこの四半期の売上高を約88億ユーロと見込み、AIとメモリ向けの旺盛な需要が数字を支えると予想している。

日本株は「AI設備投資の派生商品」になった

ここに、2026年の日本株が抱える構造がむき出しになる。日経平均を押し上げてきたのはアドバンテストや東京エレクトロンといった半導体関連株であり、その業績は最終的に米データセンター投資へと一本の綱でつながっている。野村證券が年末見通しを引き上げたのも、AI・半導体企業の好業績が前提だ。「TSMCやASMLの決算は、AIインフラ投資ブームが続くかどうかの試金石になる。(日本経済新聞/26/07)」という見立てが示すように、日本株の値動きは、もはや国内要因より海の向こうのAI設備投資に握られている。日経が1000円上がろうが下がろうが、その源泉は東京ではなくシリコンバレーとアイントホーフェンにある。

「良い決算」でも安心できない理由

気をつけたいのは、好決算がそのまま株高を保証しない局面に入っていることだ。ASMLは決算を前に4%近く下落する場面もあり、市場は数字そのものより「次の見通し」に神経を尖らせている。供給制約から2026年は生産能力をフルには解放できないとされ、成長の本番は2027年以降にずれ込む。期待がすでに株価に織り込まれているぶん、少しでも慎重なガイダンスが出れば失望売りに転じる。7月13日に日経が強気転換の直後に1100円下げたのは、その脆さの予告編だった。

綱を握る手を見誤らない

2026年夏の日本株を読むうえで、決算カレンダーの主役は日本企業ではない。ASMLに始まり、月末のTSMCや米GAFAMの設備投資計画へと続く一連の数字こそが、日経の体温を決める。日本株に賭けることは、事実上、世界のAI投資が続くかどうかに賭けることと同義になった。目の前の株価に一喜一憂するより、綱の反対側を握っているのが誰なのかを見誤らないことが、この夏を生き延びる条件になる。

参照ソース(情報の出どころ)

露光装置大手ASML 第2四半期決算プレビュー(TradingKey/26/07)

世界株高占うTSMC・ASML決算 半導体需要旺盛ならAIラリー再開も(日本経済新聞/26/07)

ASMLとTSMCの決算、AIインフラ投資ブームの試金石に(BigGoファイナンス/26/07)

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