秋ドラマの中でも、これは少し毛色が違う。池井戸潤の同名小説を原作にした『俺たちの箱根駅伝』が、大泉洋を主演に迎えて10月に始まる。駅伝ものと聞けば選手たちの汗と涙を想像するが、この作品のカメラは意外な方向を向いている。走るランナーではなく、その走りを全国に届ける“中継する側”の大人たちが主役なのだ。半沢直樹を生んだ作家が、なぜ今この題材を選んだのか。
10月10日スタート、主演は大泉洋
放送は日本テレビ系で、10月10日21時から初回が届けられる。(モデルプレス/26/08/31)原作は、池井戸潤が十余年の歳月をかけて書き上げた同名小説だ。大泉洋が演じるのは、箱根駅伝の生中継を担う「大日テレビ」のチーフプロデューサー・徳重亮。センターディレクターの宮本菜月役に伊藤沙莉、古豪・明誠学院大学陸上競技部の新監督・甲斐真人役に山下智久という布陣で、テレビ局と大学、二つの現場が交差する群像劇になる。(本の話)公開された特報でも、大泉演じる徳重が組織の不条理に立ち向かう姿が前面に押し出されている。
走る選手ではなく「中継する大人たち」が主役
駅伝ドラマの定番なら、区間賞を狙う選手の内面や監督との師弟愛が中心になる。だが本作は、その感動を“どう映すか”に格闘する放送現場を軸に据えた。数十台のカメラ、中継車、限られた予算、そして生放送という一度きりの本番。視聴者が当たり前に見ている正月の映像が、いかに危うい綱渡りの上に成り立っているかを描く。走者ではなく裏方を主役にした時点で、この作品は「スポーツ根性もの」ではなく「仕事の物語」に舵を切っている。
半沢直樹の作者が“テレビ局もの”に挑む意味
池井戸作品といえば銀行やメーカーなど、硬い企業組織を舞台にしてきた。そこへテレビ局という華やかで、しかし旧弊も多い現場を持ち込んだのは挑戦だ。花形に見える放送の裏にも、予算、社内政治、世代間の対立といった“会社もの”の骨格がそのまま横たわっている。駅伝という国民的コンテンツを借りながら、描かれるのは結局、組織の中で信念を貫く一人の会社員の姿である。地上波の連ドラで王道の題材を選んだのは、配信全盛の時代にあえて「みんなで正月に見るもの」の価値を問い直す意図とも読める。
これは駅伝ドラマの顔をした、仕事ドラマだ
『俺たちの箱根駅伝』を「感動のスポーツドラマ」とだけ捉えると、この作品の芯を見落とす。ここにあるのは、担当した仕事に誇りを持てるか、という普遍的な問いだ。走るのは選手でも、番組を成立させるために泥をかぶるのは名前の出ない大人たちである。視聴者が試されるのは初回の視聴率ではなく、毎週この“裏方たちの本番”に自分を重ねられるかどうか。年明けの駅伝を、来年から少し違う目で見たくなる——そんなドラマになるはずだ。
参照ソース
大泉洋主演「俺たちの箱根駅伝」10月10日放送スタート 新たな映像満載の特報も解禁(モデルプレス)/26/08/31
大泉洋、伊藤沙莉、山下智久の3ショットビジュアル解禁(本の話)/26/08
『俺たちの箱根駅伝』10月10日21時より初回放送へ(リアルサウンド)/26/08




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