「待てば下がる」という常識が崩れた
PCパーツの買い方には、長らく一つの鉄則があった。新製品が出て値がこなれるのを待ち、底値を見計らって買う──焦らず待つ者が得をする、というものだ。2026年夏、その定石が音を立てて崩れている。特にDDR5メモリの値動きが象徴的だ。年初にピークをつけたあと、春先から在庫過多を背景に下落が続いてきたが、7月に入って反転上昇に転じた。「7月第1週に入り、32GBキットが週+3.7%、64GBキットが+1.9%と反転上昇している。(ゲーミングスタイル/26/07)」という状況で、待っていたはずの値下がりが、いつの間にか値上がりに変わってしまった。
6月が底だった、と後から分かる残酷さ
厄介なのは、この底値が「過ぎてから」しか分からなかった点だ。4月後半からの下落は本格的な値下がりの始まりに見えたが、実際にはゴールデンウィーク前後の在庫処分による一時的なくぼみに過ぎなかった。ゲーミング主流のDDR5-6000 16GB×2は5万円割れの水準から約6万円へ、DDR5-5600の構成も4万円台から約5.8万円へと戻している。もう少し待てばさらに安くなる、と踏んで見送った人ほど、結果的に高値をつかむ羽目になった。値下がり局面の「あと一歩」を狙う従来の駆け引きが、今年は裏目に出やすい。
反転の犯人はまたしても「AI」だった
なぜ供給が緩んだ矢先に価格が跳ね返したのか。原因は消費者向け市場の外にある。SamsungやSK HynixがQ2に契約価格を大きく引き上げ、それが小売価格へ反映され始めた。さらに根本には、DRAM大手がAI向けのHBMやLPDDRの生産を優先し、一般PC向けの割り当てを削っている構図がある。データセンターがメモリを飲み込む流れは、SSDに続いてDRAMでも鮮明だ。ゲーミングPC全体への波及も避けられず、「メモリ高騰のコストを吸収しきれず、ゲーミングPCは2026年に最低20%値上げされる可能性がある。(Gadget Gate/26/06)」と指摘されている。AI需要が、巡り巡って普段使いのPC価格まで押し上げている。
GPUでは逆転、AMDが「コスパの正解」に
もっとも、値上がり一色というわけでもない。GPUに目を移すと、GeForce系が軒並み価格を上げるなか、Radeonは相対的に落ち着いてきた。ゲームをプレイするだけならAMDのグラボを選んだほうがコストパフォーマンスは良い、という逆転が起きている。RTX 5060が軒並み6万円超になった一方で、RX 9070XTが9万円台で存在感を増す。パーツごとに価格の風向きがばらつく今、「どのメーカーの何を、いつ買うか」を用途から逆算する目利きが、これまで以上に効いてくる。
逆算して、動くべき時に動く
2026年夏のPC市場が突きつけているのは、「待てば安くなる」という前提そのものの失効だ。DDR5は6月に底を打ち、供給逼迫は早くて2027年、遅ければ2028年まで続くとされる。必要なメモリ構成が決まっているなら、さらなる値下がりを当てにして先送りするより、今の価格で確保するほうが損は小さい。相場の反転を後から悔やまないために、用途から逆算し、動くべき時に動く。それが、高騰が常態化した時代のPCの買い方になる。
参照ソース(情報の出どころ)
DDR5メモリ価格【2026年7月最新】32GB・64GBの今の値段と価格推移(ゲーミングスタイル/26/07)




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