グラフィックボードが高い、メモリが高い。ここ最近、自作PCの値上がりといえばまずこの二つが槍玉に挙がってきた。ところが2026年夏、高騰の波は思わぬところへ広がっている。SSDだ。地味で、これまで最も安く手に入る部品だったストレージが、いつの間にか一年前の二倍近い値札をつけている。しかもこの流れ、当分は止まりそうにない。PC自作の常識が、静かに書き換わっている。
1TBが8000円から2万円台へ
数字を見ると事態の深刻さがわかる。市場では、2024年に約8000円で買えた1TBのNVMe SSDが、2026年に入って2万〜2.8万円まで跳ね上がったと報じられている。SSD全体でも2倍以上、モデルによっては3〜5倍に達しているという。(楽天市場お買い得情報PC版/26/02/21) かつては容量単価がひたすら下がり続けるのが当たり前だったストレージが、逆走している。安さの代名詞だったパーツが、いまや構成費を押し上げる要因に変わった。
犯人はまたしてもAIサーバー
原因をたどれば、行き着く先はやはりAIだ。AIデータセンターは膨大なデータを高速にさばくため、超大容量・超高速なサーバー向けSSDを飲み込むように必要とする。メーカーは利益の薄い一般PC向けの生産を後回しにせざるを得ず、その結果、市場全体のSSD価格が底上げされている。(N-TECHS/26/07) メモリ高騰でさんざん聞いた構図が、そっくりそのままストレージでもくり返されている。半導体を作る資源が、片っ端からAI向けに吸い上げられているのだ。
その影響はグラフィックボードの世界にも表れている。GeForce系は値上がりが続く一方、Radeon系は価格が落ち着き、Radeon RX 9070 XTが9万円台まで下がるなど、いまはAMDのほうがコスパで優位という逆転現象すら起きている。(だらめもゲーミング/26/07) パーツごとに値動きがちぐはぐで、全体像がつかみにくい。
回復は早くて2027年、下手をすれば2028年
やっかいなのは、この高止まりに出口が見えないことだ。供給の逼迫は2027年まで延び、Samsungやキオクシアといったメーカーは、すでに大手テック企業と2027年分の供給交渉を始めているとされる。新たなNAND工場が本格稼働するのは2027年後半以降で、価格が意味のある水準まで下がるのは早くて2027年、下手をすれば2028年という見方が業界の共通認識になっている。つまり「少し待てば安くなる」という自作PCの定石が、当面通用しない。
「待てば下がる」が崩れた夏、動くなら理由を持て
この状況が突きつけるのは、PCの買い方そのものを見直す必要だ。従来なら、部品は値下がりを待って組むのが賢いとされてきた。だが高騰が数年単位で続くなら、その常識は逆に損を生む。いま必要な容量があるなら、無理に極端な大容量を狙わず、必要十分な構成で早めに確保するほうが結果的に安くつく場面が増えている。逆に、今すぐ必要でないなら高値づかみを避けて見送る。判断の軸は「安くなるまで待つ」から「その容量が今いるかどうか」へと移った。値動きに振り回されるのではなく、自分の用途から逆算する。それが、部品高騰が長期化するこの夏の、唯一まともなPCとの付き合い方だ。
参照ソース(情報の出どころ)
SSDが2倍、HDDも1.5倍に高騰中。今買うべきストレージまとめ(楽天市場お買い得情報PC版・26/02/21)
AI需要でメモリやSSDの価格が上昇? 価格上昇の構造を解説します(N-TECHS・26/07)
今はグラボの値下がり時期?価格推移をまとめてみた(だらめもゲーミング・26/07)





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