証券各社がそろって強気の見通しを掲げた、その数日後だった。7月13日の東京株式市場は前週末から一転して崩れ、日経平均は前引けで1100円を超える下落を演じた。数日前まで「年末6万8000円」という強気の数字が飛び交っていたのに、市場はあっさりと逆を向いた。この落差こそ、いまの日本株が抱える弱点を何より雄弁に語っている。上げも下げも、たった一つの業種に握られているという現実だ。

1100円安の中身は「半導体」だった

13日午前11時時点で、日経平均は前週末比1113円安の6万7444円まで沈み、6万6000円台をつける場面もあって約1カ月ぶりの安値水準となった。(株探ニュース/26/07/13) 注目したいのは下げの主役だ。同じ市況では、この日の下落をキオクシアが約169円分も押し下げたと伝えている。半導体・メモリ関連の一角が指数全体を引きずり下ろした構図である。

直近まで日本株を持ち上げてきたのも同じ顔ぶれだった。AI向け半導体の好業績を織り込む形で指数は最高値圏まで駆け上がり、証券各社の強気見通しもその収益力を根拠にしていた。上げの原動力がそのまま下げの震源になる。半導体が買われれば全体が上がり、売られれば全体が沈む。指数が事実上、一業種の株価に連動して動いているのだ。

強気転換の「答え合わせ」が最速で来た

皮肉なのは、この急落が強気転換のほぼ直後に来たことだ。市場では野村の年末見通しが6万8000円へ上方修正されるなど、アナリストの慎重論が急速に後退していた。だが株価がすでにその目標を先取りしている以上、上振れの余地は薄く、少しの逆風で反転しやすい。「アナリストが強気で足並みをそろえたときこそ天井が近い」という相場の格言を、今回はわずか数日で地で行った。

為替も追い風にはならなかった。この日は1ドル161円98銭前後と、依然として39年半ぶりの円安水準にある。(日本経済新聞/26/07/09) 通常なら輸出企業に有利な円安だが、それでも半導体株が崩れれば指数は支えきれない。円安メリットという物語が、もはや万能薬でないことがはっきりした。

物色が広がらなければ、この脆さは続く

問題は相場が終わったかどうかではない。買われる対象が半導体に偏りすぎている、その一点足打法にある。長期金利が30年ぶりの高水準にあることで銀行や金融、内需や機械といった出遅れセクターへ資金が回れば、指数の下値は厚くなる。逆に物色が半導体から広がらないままなら、AI関連の一挙手一投足に全体が振り回される展開が続く。

7月下旬からは主要企業の四半期決算が本格化する。株価が先に走った以上、ここからは「業績が株価に追いつけるか」の答え合わせだ。半導体だけが好調でも、その他の企業が力強い数字を出せなければ、市場は再び失望売りに傾く。

指数の高さより、支える足の数を見よ

13日の1100円安が教えるのは、日経平均の水準そのものよりも、それを支える足が細いという事実だ。一本足で立つ相場は、風が吹けば大きく揺れる。最高値圏という響きに安心するのではなく、上昇が半導体以外にどれだけ裾野を広げられるか。そこにこそ、この夏の日本株が本物かどうかの分かれ目がある。強気一色になった直後に1000円安を食らった今回の一日は、その警告として記憶しておく価値がある。

参照ソース(情報の出どころ)

11時の日経平均は1113円安の6万7444円、キオクシアが169.42円押し下げ(株探ニュース・26/07/13)
日経平均は強含みの展開か 円は39年半ぶりの円安を意識(日本経済新聞・26/07/09)

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