円安は39年半ぶり、それでも日銀は動かない

ドル円は7月に一時162円台をつけ、39年半ぶりの円安水準に沈んだ。輸入物価は再び上がり、家計の負担は増している。それでも日銀は政策金利を1.0%に据え置いたまま、追加利上げに踏み切れていない。市場の関心は、7月末の金融政策決定会合で日銀がついに動くのか、それとも今回も見送るのかに集まっている。円安と物価高が家計を締め上げるなか、中央銀行だけが身動きを取れずにいる。

長期金利は30年ぶり高水準という矛盾

奇妙なのは、日銀が短期金利を上げないなかで、長期金利だけが独り歩きしている点だ。新発10年国債の利回りは7月に一時2.8%台へ乗り、およそ30年ぶりの高さに達した。長期金利が30年ぶりの高水準をつけたと伝えられている。(日本経済新聞、26/07/08)。政策金利は低いのに市場金利は上がる——これは、財政悪化と利上げの遅れを見越した債券売りが進んでいることを意味する。日銀が動かないほど、市場が代わりに金利を押し上げる構図になっている。

利上げできない三つの事情

日銀が動けない理由は三つある。一つ目は、利上げが国債の利払い増と財政不安を一段と刺激しかねないこと。二つ目は、景気が半導体・AI関連の一本足で支えられており、金利を上げれば内需の弱さが一気に露呈すること。三つ目は、利上げしても日米の金利差は依然として大きく、円安を止める決定打になりにくいことだ。介入という手札も、効果が一時的だと分かっている以上、簡単には切れない。動けば副作用、動かなければ円安。日銀はその板挟みにある。

7月会合の現実的なシナリオ

7月末の会合で、日銀が0.25%程度の追加利上げに踏み込む可能性はゼロではない。円安と物価高がすでに政治的な圧力になっているからだ。ただ本命は、今回も据え置いたうえで「次の利上げ」を強く示唆する言葉で時間を稼ぐ展開だろう。投資家が身構えるべきは、利上げそのものよりも、日銀が動かないことで長期金利がさらに上がる「悪い金利上昇」だ。円を持っているだけで実質的に目減りするこの局面では、通貨と資産の分散を淡々と進めておくことが、いまできる最も堅実な備えになる。動かない日銀を待つより、動けない前提で身構えるほうが現実的だ。

参照ソース(噂の出どころ)

マーケットニュース:市場の分析・最新情報(日本経済新聞、26/07/08)

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