円安が重石の小売業界で、独り勝ちの数字

2026年7月10日に発表された良品計画の2026年8月期第3四半期決算は、逆風下の小売業界のなかで際立っていた。営業収益は6907億円で前年同期比16.9%増、営業利益は808億円で36.0%増、経常利益は823億円で42.5%増という大幅な伸びである。通期予想も上方修正され、「営業利益を90億円積み増し980億円、経常利益を990億円へ引き上げた。(株探/26/07/10)」と最高益の見通しを上乗せした。円安が輸入コストを押し上げ、多くの小売が値上げと客離れの綱渡りを強いられるなかで、この増益幅は異質だ。しかも、その源泉は為替の追い風でも派手な値上げでもない。

利益を生んだのは「原価を自分で下げる力」

決算が示した増益の中身は明快だった。「生産体制の内製化による原価低減や、値下げの抑制により営業総利益率の改善が進んだ。(流通ニュース/26/07/10)」というのが会社の説明である。仕入れた商品を売るのではなく、企画から生産までを自社で握る製造小売、いわゆるSPAの利点を、良品計画は原価の作り込みという最も地味な部分で発揮した。為替が振れても、商品一つあたりの作り方を自分でコントロールできれば、利益率は外部環境に振り回されにくくなる。円安をコストとして受け身に飲むのではなく、原価構造そのものを自前化して無効化しにいった。ここに、他のアパレルとの決定的な差がある。

「値下げしない」を選べる強さ

もう一つの柱が値下げの抑制だ。安売りで数を稼ぐのではなく、適正な価格で売り切る。これは需要が強く、ブランドが値付けの主導権を握っていなければ選べない戦略である。海外の既存店が好調を続け、国内でも生活の基盤としての支持が厚いからこそ、良品計画は「安くしない」という判断を利益に変えられた。円安局面では、原材料高を価格に転嫁できるかどうかが小売の明暗を分ける。転嫁ではなく、そもそもの原価を下げて利益率を守った良品計画のやり方は、値上げ疲れの消費者に負担を押し付けない分だけ持続性がある。

為替頼みの好決算とは、質が違う

2026年の日本株は、円安によるかさ上げで最高益を並べる企業が目立った。だが、円が反転すればその利益は逆回転する。良品計画の増益は、そうした為替ボーナスとは出所が異なる。自社で原価を作り、価格の主導権を握り、海外で稼ぐ。この三つがそろった利益は、円高に振れても大きくは崩れない。株価は決算翌日にいったん利益確定に押されたが、注目すべきは目先の値動きではなく、利益の質だ。円安が終わったときに残る企業と消える企業を見分ける物差しとして、良品計画の「自前化」は一つの答えを示している。

参照ソース(噂の出どころ)

株探「良品計画、今期経常を13%上方修正・最高益予想を上乗せ」流通ニュース「良品計画 決算/9〜5月は2桁の増収増益、通期予想を上方修正」

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