3月の最高値から2割下落した金相場

金の国内小売価格は2026年3月2日に1グラム3万0305円という史上最高値を付けた。ところがその後は右肩下がりで、7月3日時点の田中貴金属の店頭小売価格は2万3799円。ピークからおよそ2割も削られている。年初の熱狂で「金は青天井」と煽られた投資家からすれば、想定外の失速だ。地政学リスクと中央銀行の買いに支えられて一本調子で上がると思われた金が、実は明確に天井を打った可能性がある。(田中貴金属工業、26/07/03)

ドル建てで下げても、円建てが下げ切らない訳

金が失速した最大の理由は、金融緩和期待の後退だ。7月初旬にはFRB高官が緩和に前のめりな市場を牽制し、ドル高が金を押し下げた。金利を生まない金は、利下げ観測が遠のくほど分が悪い。ところが国内価格はドル建てほど素直に下がらない。ドル円が161円台という約39年半ぶりの円安に張り付いているからだ。ドル建て金が下げても、円換算で目減りが埋め合わされる。円安が国内の金価格に「見えない床」を敷いている。(おたからや、26/07/03)

「有事の金」神話が試される局面

金を買う理屈はここ数年、インフレ、地政学、脱ドル、中央銀行の旺盛な購入と揃い踏みだった。だが最高値からの2割安は、その物語が完全ではないことを突きつける。中東情勢が緊張してもリスクオフ資金は必ずしも金だけに向かわず、暗号資産や米国株にも分散した。金利が下がらなければ、金の魅力は相対的にしぼむ。「有事なら金」という条件反射が、いつも通用するわけではない。買い手はいま、その神話の耐久性を試されている。

円で持つ人にとっての本当の意味

見落としてはいけないのは、円建てで金を持つ日本人の含み益の正体だ。ドル建ての金が伸び悩む中でも国内価格が高止まりしているのは、金そのものの強さではなく、円の弱さが効いているからにすぎない。裏を返せば、もし円安が反転すれば、国内の金価格はドル建て以上に大きく削られる。金は「守りの資産」とされるが、円安局面での金投資は、実は円売りに賭けているのと同じ構造を抱えている。天井圏で飛びつくより、円高への反転リスクまで見据えて構える局面に入った。金の相場は、金を語っているようで、実は円の行方を語っている。

参照ソース(噂の出どころ)

田中貴金属工業「日次金価格推移」(26/07/03)
おたからや「金相場・世界情勢動向解説」(26/07/03)

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