AppleがGeminiを選んだ決断

6月8日、AppleはWWDC 2026のキーノートを開催する。最大の注目点はSiriの全面刷新だ。iOS 27に搭載される新Siriは、独立したスタンドアロンアプリとして生まれ変わる。その「頭脳」として使われるのが、競合であるGoogleのGeminiモデルだという。年間10億ドル(約1500億円)のライセンス料で使用権を取得したとされ、Appleがここまでの対価を競合に支払うのは史上初のことだ。

なぜ自社AIを「外注」したのか

AppleはこれまでSiriを自社開発にこだわってきた。しかし2025年から2026年にかけて、ChatGPTやGeminiに完全に水をあけられたSiriは「役に立たない」と酷評されるほど評価が低下した。WWDC 2025でApple Intelligenceを発表したものの、Siri本体の改善は限定的だった。その反省を踏まえ、AppleはGeminiのカスタムモデル(推定1.2兆パラメーター)をPrivate Cloud Computeインフラ経由でSiriに組み込む決断をした。ユーザーデータはGoogleのサーバーには届かない設計で、プライバシーブランドを守る工夫がされている。とのことです。(Yanko Design)

「Siriアプリ」が変える体験

新SiriはDynamic Islandと連携し、会話履歴・画像・文書の入力が可能なチャットボット形式のインターフェースを備える。個人コンテキストの理解、画面上の状況把握、複数アプリをまたいだ複合タスクの実行といった機能が加わり、「調べて答える」から「調べて実行する」へとSiriの性格が根本から変わる。これはChatGPTのAgentモードやGoogleのAstraと直接競合することを意味する。

AIのマーケットプレイスを作るApple

注目すべきはGemini以外の扱いだ。iOS 27では、ClaudeやChatGPTなど他社AIエージェントも「バックエンド」として切り替えられるようになる。App Storeの専用セクションが設けられ、Siri検索バーの長押しでAIモデルを選択できる設計が計画されているという。とのことです。(MacRumors) これはAppleが「AI流通プラットフォーム」になろうとしていることを示している。

「遅れたApple」が仕掛ける逆転の構造

AI競争で後手に回ったことは事実だ。しかしAppleには12億台を超えるアクティブiPhoneと、世界最大規模のApp Store経済圏がある。最高のAIを調達し、最高のハードウェアとOSで動かすという戦略は、Googleにとっても年間10億ドルの収益になる。奇妙な「競合同士の共存」がここに生まれている。WWDC 2026まであと2週間。SiriとGeminiの融合がどこまでの完成度で発表されるかが、AppleのAI元年を本当の意味で始動させる試金石になる。

参照ソース

WWDC 2026: iOS 27, macOS 27 and the New Siri App(Yanko Design)(26/05/25)
WWDC 2026: Everything to Expect(MacRumors)(26/05/25)

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