日本の長期金利が29年ぶりの高水準に達し、日経平均が一時急落する中、多くの日本人投資家や住宅購入者が「今は動けない」と立ち止まっている。ところが東京の超高級マンション市場は、まったく異なる動きを見せている。港区・千代田区・虎ノ門エリアの5億円超物件に対し、外国人投資家による購入が2026年に入っても続いているのだ。金利が上がり「割高」になったはずの東京不動産が、なぜ今も買われ続けるのか。その答えは円安という、見えにくいが巨大な割引にある。
円安が「東京の不動産を値下げして見せる」仕組み
2024年以降、ドル円レートは140〜160円台で推移してきた。たとえば2億円のマンションは、1ドル=130円時代には約154万ドルだったが、1ドル=158円では約127万ドルに下がる計算だ。日本国内の視点では「変わらず2億円」だが、ドルベースで資産を持つ外国人投資家には20%以上値下がりして見える。この「円安割引」効果が、日本人の購買力低下を補って余りある買い支えを生み出している。日銀が金利を上げると国内購買力はさらに低下するが、円高にならない限り外国人の割引感覚は変わらない。
外国人が買うのは「超高級帯」だけ──金利上昇の影響を受けない層
外国人投資家が購入するのは主に5億円超の物件に集中している。港区・千代田区・虎ノ門・麻布台ヒルズエリアの超高層タワマン上層階がターゲットだ。これらの物件は現金一括や機関資金で購入されることが多く、住宅ローン金利の影響をほとんど受けない。「金利が上がれば市場が冷える」という一般論は、超高級帯には当てはまらない。この層が東京の価格水準を高い位置に固定し続けることで、平均値は「1.5億円超」のまま維持される。
二極化する東京マンション──守られる上と、揺れる下
2026年の東京マンション市場は明確に二極化している。「5億円超の超高級帯」は外国人需要で下支えされ、一方「3,000万〜8,000万円の実需帯」は金利上昇で購買力が低下している。最も調整リスクが高いのは、その間に挟まれた1〜2億円台の中高級帯だ。外国人需要には届かず、日本人の住宅ローン審査も厳しくなるこの価格帯が、2026年下半期に最も動きにくくなる。東京全体の「平均1.5億円超」という数字だけで市場を判断すると、実態を見誤る。どの価格帯を見るかで景色はまるで異なる。
「外国人に買われ続ける東京」は、いつまで続くのか
円安が続く限り、外国人の東京不動産への割安感は維持される。しかし日銀が利上げを重ねて円高方向に振れた場合、この構図は一変する。1ドル=120円になれば、2億円物件は167万ドルとなり、現在の127万ドルから30%以上値上がりして見える。その瞬間に外国人需要は急速に萎縮し、超高級帯の価格も調整局面に入る可能性がある。2026年現在、東京の超高級不動産は「円安バブル」の上に成り立っている側面がある。それを認識したうえで、持つか・売るかを判断するのが、2026年の正しい不動産戦略だ。




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