「GPUメーカー」NVIDIAがCPUを作る理由

2026年6月2日から5日にかけて台湾・台北で開催されるComputex 2026。テーマは「AI Together」。そこでNVIDIAが中心的な話題として持ち込むのが「Vera CPU」だ。88コアのOlympusアーキテクチャを採用したARMベースのデータセンター向けCPUで、IntelやAMDのx86プロセッサに対して最大1.5倍のパフォーマンスを発揮すると発表されている。(Wccftech)

NVIDIAといえばGPUの会社というイメージが強い。BlackwellアーキテクチャのGPUでAIデータセンター市場を独占し、時価総額でAppleを超えた企業が、なぜCPUを作るのか。その答えはAIの「次のステップ」にある。

エージェントAI時代にCPUが「ボトルネック」になる

GPUは並列演算が得意で、大規模な行列計算をこなすAI学習・推論に適している。だが「エージェントAI」と呼ばれる、複数のタスクをこなしながら自律的に動作するAIシステムでは、スクリプト実行・コード生成・データ解析といったCPU依存の処理が大きなボトルネックになる。(ServeTheHome)

Vera CPUは1.2TB/sのメモリ帯域幅を持ち、最大1.5TBのメモリに対応する。前世代のGrace CPUと比べてメモリ容量が3倍、消費電力は半分。さらにFP8精度をサポートする世界初のCPUとして、AIワークロードに特化した設計になっている。256基を液冷でラック搭載した構成ではCPUスループットが従来比6倍に達するとされる。(Tom’s Hardware)

IntelとAMDはどう応えるか

Computex 2026にはIntelのCEOリップ・ブー・タンも登壇予定で、「Wildcat」プロセッサを中心としたAI PC戦略を披露する。AMDも同会期中に新製品を展示する予定だ。しかし今回のNVIDIA Vera CPUが示すのは、GPU+CPUという統合されたAIコンピューティングスタックをNVIDIA一社で提供するという野望だ。

従来のNVIDIA Grace CPUは主にGPUのコンパニオンとして機能していたが、Veraは「汎用データセンターCPU」として独立して販売される。アナリストはFY27(2027年2月期)で120万台、FY28では420万台の出荷を予測している。数字の上ではIntelやAMDの出荷量には遠く及ばないが、高付加価値のAIサーバー市場での存在感は急速に拡大しそうだ。(NVIDIA Newsroom)

x86の40年独占が崩れる日は来るか

AppleがMacをARMに移行させ、MicrosoftがCopilot+ PCでARMを推進する中、Computex 2026はNVIDIAというもう一つのARMプレイヤーが「データセンター版ARMの旗手」として台頭する場になる。x86という40年の独占を崩すことがNVIDIAの本来の目的ではないにせよ、AI時代に「全てを提供できる会社」を目指す戦略において、Vera CPUは欠かせない一手だ。IntelとAMDにとって、この発表は単なるスペック競争ではなく、市場の主導権を問われる局面でもある。

参照ソース(噂の出どころ)

NVIDIA’s Vera CPUs Set to Outrun Intel and AMD x86 Chips by 1.5x at Computex 2026(Wccftech / 26/05/22)
NVIDIA’s Vera CPU in Detail(ServeTheHome)
Nvidia unveils details of new 88-core Vera CPUs(Tom’s Hardware)
NVIDIA Launches Vera CPU, Purpose-Built for Agentic AI(NVIDIA Newsroom)

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