「血糖値が測れるスマートウォッチ」への期待と現実

「針を刺さずに血糖値が測れる」──これほど多くの糖尿病患者と健康意識の高い人々が待ち望んでいる機能はない。Samsung Galaxy WatchとApple Watchが毎年のように「今年こそ非侵襲血糖値測定搭載」と噂されながら、2026年に至っても実現していないのはなぜか。2026年も数多くのスマートウォッチが発売されるが、この機能だけは依然として「来年こそ」のまま宙ぶらりんになっている。

技術的な壁:光で血糖を測る難しさ

現在最も有力な非侵襲血糖測定のアプローチは「近赤外線分光法」だ。手首に光を当て、皮膚下の血液中グルコース濃度を光の反射・吸収パターンから推定する。理論的には成立するが、実際には個人差(皮膚の厚さ、体毛の量、汗の量)が大きく、精度が医療基準に達しない。スマートウォッチの小型センサーでは、この個人差を補正するだけの計算リソースと光源の精度が足りないとされている。

規制の壁:FDAと厚労省が首を縦に振らない理由

仮に技術的にある程度の精度が出せたとしても、そこには規制の壁がある。米FDAと日本の厚生労働省は、血糖値測定デバイスを医療機器として厳格に審査する。もし「測れます」と表示したデバイスが誤った数値を出し、それをもとにインスリン投与量を判断した患者が低血糖で倒れたら、デバイスメーカーの責任問題になる。(神戸きしだクリニック

だからSamsungもAppleも「参考値」という表現に留め、医療機器認定の取得を急いでいない。正確に言えば、取得できる精度に達していないのだ。

「2026年のスマートウォッチ」が本当に使える健康機能

血糖値は夢のまま待つとして、現在のスマートウォッチが実用レベルに達している健康機能は着実に増えている。心電図(ECG)、血中酸素濃度(SpO2)、睡眠ステージ検出、心房細動検知──これらはすでに医療機器認定を受けているか、医師の診断補助として活用され始めている。Galaxy Watch 8が実装予定とされるストレスホルモン(コルチゾール)検知も、精度次第では革新的な機能になりうる。

血糖値測定が「スマートウォッチの標準機能」になる日は、技術・規制・精度の三つが揃ったときだ。楽観的に見ても2027〜2028年。今年のGalaxy Watchを「血糖値のために買う」のは時期尚早であり、その期待はまだ手首には届いていない。

参照ソース(噂の出どころ)

スマートウォッチで血糖値は測れる?精度や現状の活用法を詳しく解説(神戸きしだクリニック)

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