2026年5月12日、S&P500が3.3%、ナスダックが4.3%という急騰を見せた。きっかけは米中が5月10・11日にスイスで行った貿易協議の合意だ。米国が中国に対する相互関税の上乗せ税率115%を90日間凍結し、91%分を撤廃するという内容で、市場は一気にリスクオンに転じた。だが、この急騰を素直に喜んでいいのか、少し立ち止まって考えてほしい。
「90日停戦」の意味するところ
今回の合意の核心は「90日間の一時停止」であり、関税撤廃の合意ではない。つまり、90日後の2026年8月中旬には再び交渉の場に戻る必要がある。米中関係の本質的な摩擦──半導体規制、台湾問題、AIの知的財産──は何ひとつ解決していない。株式市場が急騰した理由は「問題が解決した」からではなく、「最悪のシナリオが一時的に回避された」というだけだ。(三井住友DSアセットマネジメント)
なぜ市場はこんなに反応するのか
米国株、特にナスダックのハイテク銘柄は「関税リスクのある供給チェーン」に極めて敏感だ。AppleはiPhoneの多くを中国で製造しており、NVIDIAはAIチップの販売で中国市場の比重が大きい。関税が全面的に発動されていれば、これらの企業の利益率は直撃を受けていた。その恐怖が和らいだことで、AIバブル続伸への期待が一気に高まった。
5月に決算発表を控えるNVIDIAをはじめとするAI関連企業の業績期待も、今回の急騰を後押しした。ダウ工業株30種平均は前週末比2.8%上昇し、49,700ドル台を回復している。(OANDA Japan)
日本株への波及と「落とし穴」
日経平均も米中合意の恩恵を受け急騰した。野村証券は「関税合意後の日経上昇の持続性は日米交渉次第」と指摘しており、日本は5月中旬以降の第3回閣僚協議に向けて日程を調整中だ。その結果次第で市場が再び揺れる可能性がある。
さらに中東情勢の不透明感も残る。中国はイラン産原油の9割を引き取っており、イラン制裁が強化されれば中国経済への間接的な影響も生じる。今の急騰は「問題解決」ではなく「問題の先送り」だ。90日後に同じ緊張が再燃するリスクは十分に残っており、この局面を「買い場」と見るか「罠」と見るかで、投資家の明暗が分かれる。
参照ソース(噂の出どころ)
米中関税引き下げ合意で市場はリスクオン~今後の焦点について | 三井住友DSアセットマネジメント
S&P500の振り返りと見通し(2026年5月12日) | OANDA Japan
関税合意後の日経平均株価上昇 持続性の見極めポイントは? | 野村証券ウェルスタイル





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