finalの有線イヤホン「A8000 DC」は10月30日に発売される。予約は10月23日に始まっており、価格はオープンで実売は約25万8000円の見込みだ。2019年の名機A8000が採用したベリリウム振動板を、新開発の「真マグネシウム」振動板に置き換えたのが最大の違い。素材の調達難で途絶えたA8000の音を、別の素材で取り戻しにいく製品と言える。

final A8000 DCの発売日と価格

A8000 DCは10月23日に予約を開始し、30日に発売される。実売予想は約25万8000円で、7月のポタフェスで試作機が初披露された際には「秋発売・25万円前後」とされていた。(PHILE WEB)(26/07/11)

予告どおりの時期と価格帯に着地したことになる。初代A8000の発売時価格は19万8000円だったため、約6万円高い。ラインナップ上はA8000と最上位A10000の間に位置づけられる。

A8000 DCと初代A8000の違い

初代A8000は「真ベリリウム」振動板で高く評価されたが、素材の調達問題で生産を終えていた。A8000 DCでは、強度を高めるために自社で合金化したマグネシウムの振動板を新たに開発し、A8000の音を再現したうえでさらに先を目指したという。(AV Watch)(26/10/23)

メーカーはベリリウム版より歪みが少なく、とくに低域側の歪みを抑えたと説明している。名前の「DC」は、楽譜で「最初に戻る」を意味するダ・カーポに由来する。後継機というより、A8000という音そのものの復刻版と受け止めるのが正確だ。

final A8000 DCのスペック

振動板のエッジには不要な共振を抑える特殊ポリウレタンを使い、接着剤を使わず圧着と熱成形で一体化した。筐体はステンレスの削り出しで、鏡面研磨にイオンプレーティングを施したネイビー仕上げ。組み立ても接着剤ではなくネジ留めとしている。

ケーブルは潤工社と共同開発した銀コートOFC線で、絶縁材にePTFEを使う。コネクタはMMCX、プラグは4.4mmバランスだ。感度は98dB/mW、インピーダンスは13Ω、重さは62g。イヤーピースはFUSION-GとTYPE Pの2種類が各5サイズ付属し、ユーザーが交換できるダストフィルターも同梱される。

final A8000 DCは誰が買うべきか

4.4mmプラグのみなので、バランス出力を持つDAPやアンプが前提になる。初代A8000の音を知っていて手放した人や、生産終了で買いそびれた人にとっては、新品で同系統の音を手に入れられる数少ない機会だ。一方、ワイヤレスやノイズキャンセルを求める人の選択肢ではない。

注目すべきは、finalが素材の変更を「代替」ではなく「再出発」と位置づけている点だ。ベリリウムは硬さと軽さで振動板の理想に近い素材とされてきたが、入手が難しくなった。マグネシウムで同じ方向の音を作れれば、同社は調達リスクに左右されずにフラッグシップ級の音を出し続けられる。A8000 DCは、ひとつの製品であると同時に、finalの今後のハイエンド設計を占う試金石でもある。

試聴の機会があれば、初代A8000の持ち主は聴き比べてから判断したい。25万円台という価格は、イヤホンの性能ではなく「失われた音の再現」に払う対価と考えるべきだ。

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参照ソース(噂の出どころ)

AV Watch:final、真マグネシウム振動板の有線イヤホン「A8000 DC」(26/10/23)

PHILE WEB:<ポタフェス>final新イヤホン「A8000 DC」世界初公開(26/07/11)

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