売れ筋を席巻するのは、2万円台のAndroidタブレットだった
2026年夏のタブレット市場を価格比較サイトの売れ筋で眺めると、上位を埋めているのは高性能な旗艦機ではない。NECのLAVIE Tab Liteが2万円台、Galaxy Tab A11+が3万円台と、いわゆる格安Androidが人気を押し上げている。動画視聴、電子書籍、Webの閲覧といった用途なら、型落ちチップでも十分にこなせる。スマートフォンの大画面化とPCへの移行が進むなか、タブレットに求められるのは尖った性能ではなく、価格の手ごろさになった。(価格.com/26/07)
その「安さ」に、いま逆風が吹き始めた
ところが、格安タブレットの武器である低価格が、原価の側から崩されようとしている。AI向けデータセンターがメモリを大量に飲み込み、DDR5やLPDDRといった半導体メモリの価格が2026年に入って高騰した。春先にいったん下げた相場は7月に反転し、一般PC・スマホ向けの供給は後回しにされている。メモリはタブレットの原価に直結する部材だ。安さで勝負してきた製品ほど、部材費の上昇をそのまま吸収しきれず、値上げか品質据え置きかの厳しい二択を迫られる。(ゲーミングスタイル/26/07)
格安Androidは、薄い利幅を数で稼ぐビジネスだ。メモリやパネルの原価が数十パーセント跳ね上がれば、その薄い利幅は容易に消える。安く作れることが唯一の存在理由だった製品にとって、原価高騰は成り立ちそのものを揺るがす。二極化の下側、つまり「安さ」の陣地が、いま最も脆い場所になっている。
逆にiPadは、なぜ値上げに巻き込まれにくいのか
この局面で、Appleは相対的に強い立場にいる。iPadは自社設計のMシリーズやAシリーズを核に、部材の調達から製造まで垂直統合されている。メモリを外部から言い値で買い集める格安Androidと違い、Appleは調達力と設計の自由度で原価上昇を吸収しやすい。もともと利幅が厚いため、多少の部材高を価格に転嫁せず飲み込む余力もある。高性能iPad Proが「話題の中心」でいられる一方、価格改定に追われにくいのは、この構造的な差だ。
皮肉なことに、原価高騰は高い製品より安い製品を先に苦しめる。安さで戦う陣営ほど原価変動の直撃を受け、ブランドと統合力で戦う陣営ほど嵐をやり過ごせる。「高性能タブレットは売れない、安いAndroidが主役」という2026年前半の図式は、後半に入って前提が揺らぎ始めている。
「安いから買う」という選び方が難しくなる
タブレットを買う側の視点で言えば、これまでの「とりあえず一番安いのでいい」という選び方が、これからは通用しにくくなる。格安機が値上げに動けば、少し足せば買える中位機との価格差が縮み、割安感は薄れる。逆に、値ごろ感を保つiPadの下位モデルや、こなれた型落ちの中位Androidのほうが、総合的な満足度で上回る場面が増える。安さだけを頼りに選ぶと、値上がりした格安機をつかまされる可能性がある。
2026年後半のタブレット選びは、価格の絶対値ではなく、原価高騰の波に耐えられる作りかどうかで見極める局面に入る。安さを売りにした製品が最も揺れやすいという逆説を踏まえれば、いま賢いのは、用途を見定めたうえで値崩れしにくい一台を選ぶことだ。市場の下側が動揺する夏こそ、選ぶ目が問われる。





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