続編だらけの夏に、あえて「まっさら」で勝負する
2026年の夏ドラマは、正直に言えば「知っている名前」で埋め尽くされている。堺雅人の『VIVANT』続編、28年ぶりに連ドラ復活する『GTO』、松村北斗の『告白』──話題性のある看板が並ぶ一方で、視聴者はどこかで既視感も覚えている。そんな地上波の中で、7月20日スタートの月9『ブラックトリック~裁きを操る弁護人~』は完全オリジナルという逆張りを選んだ。主演はGACKT。「”でっち上げの天才”である敏腕弁護士が、依頼人を救うため”嘘”を武器に、手段を選ばず真実を暴いていく痛快リーガルエンターテインメント」と紹介されている。(dメニュー ドラマ特集(26/06/26))
なぜ「原作なし」が今、リスクなのか
近年のドラマは漫画や小説を原作に持つ作品が圧倒的に強い。放送前からファンがつき、SNSで話題が回り、失敗しにくいからだ。「2026年夏ドラマは地上波・配信を含めて約51作品が放送予定」というレッドオーシャンの中で、原作の後ろ盾を持たない完全オリジナルは、いわば丸腰で戦場に出るようなものだ。(ORICON NEWS(26年夏ドラマ))
それでも月9という一等地でオリジナルを張るのは、「原作の型に縛られない自由」を武器にできるからだ。結末を読者に先回りされない、キャラクターを一から作れる。この夏はGACKTの月9に限らず、「玉森裕太主演の予測不能なオリジナルサスペンス『マイ・フィクション』や、松本若菜主演の完全オリジナル『君の好きは無敵』」など、原作なしの意欲作が静かに並んでいる。(クランクイン!(26年夏ドラマ))
GACKTという配役が持つ「説得力」
「嘘を武器に真実を暴く弁護士」という役どころは、生半可な俳優が演じれば絵空事になりかねない。ここにGACKTを据えたキャスティングは巧妙だ。ミステリアスで、どこか本音を見せない独特の佇まいは、「でっち上げの天才」という胡散臭くも魅力的な主人公に不思議とはまる。実力と虚実が入り混じった彼のパブリックイメージそのものが、役の説得力になっている。原作ファンの期待値という「借り物の熱量」がない分、主演の存在感で一気に世界へ引き込む必要がある。その点でこの配役は理にかなっている。
この夏、勝つのは「翌日話したくなる」作品だ
続編は安心して見られるが、驚きは少ない。オリジナルは当たれば大きいが外せば埋もれる。約51本がひしめく夏に生き残る条件は、放送翌日に「あれ観た?」と口をつく余白があるかどうかだ。嘘で真実を暴くというひねくれた設定は、まさに視聴者が語りたくなる仕掛けを最初から抱えている。看板の大きさではなく、話したくなる引っかかりを持てるか。『ブラックトリック』の挑戦は、原作依存に傾いたドラマ業界への、静かな問い直しでもある。
参照ソース(噂の出どころ)
2026年夏ドラマ特集『ブラックトリック~裁きを操る弁護人~』ほか(dメニュー・26/06/26)




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