162円の裏で、資産が勝手に「ドル化」している

1ドル162円台という39年ぶりの円安が連日ニュースを賑わせている。6月30日の東京市場で円は162円台まで下落し、実需の円売りが下値を押し下げた。政府・日銀の介入警戒感すら、この流れを止めきれていない。(日本経済新聞)

物価高の話に注目が集まりがちだが、静かに見過ごされている変化がもう一つある。新NISAで「オルカン(全世界株式)かS&P500を積み立てておけば安心」と信じてきた人々の資産が、この円安局面で気づかぬうちに「ドル建て偏重」へ大きく傾いているという事実だ。円安3年目の今、その偏りが逆回転したときの痛みを、多くの個人投資家はまだ見積もれていない。

「オルカン最強」の6割はアメリカだった

オルカンは名前こそ「全世界」だが、中身は米国株が63.9%を占める。新興国株は10.8%、国内株はわずか4.9%にすぎない。つまりオルカンを買うことは、実態としてS&P500に近い米国集中投資をしているのとほとんど変わらない。そして為替ヘッジはかかっていない。円安が進んだこの数年、基準価額の好調さには株価上昇だけでなく、円安による為替の追い風がたっぷり乗っていたとのことです。(株式会社アルビノ)

ここに落とし穴がある。162円という歴史的水準は、裏を返せば「これ以上の円安余地は小さく、円高に振れる余白の方が大きい」局面に入ったとも読める。円高に転じれば、米国株が下がっていなくても、円換算した基準価額は為替要因だけで目減りする。含み益の何割が実力で、何割が円安のかさ上げだったのか――それを直視している積立投資家は驚くほど少ない。

円高と株安が「同時に来る」怖さ

最も警戒すべきは、円高と米国株安が同時に起きるシナリオだ。この二つが重なると、外貨建て資産の値下がりは日本株よりはるかに大きくなる。株価下落に円高の目減りが掛け算で乗るからだ。オルカンやS&P500は「ほったらかしで最強」と語られてきたが、その神話は円安という追い風がずっと吹き続けるという暗黙の前提の上に立っていた。162円まで来た今、その前提こそが最大のリスク要因に変わっている。マネー専門家の間でも、2026年は「オルカン・S&P500一択は危うい」との声が目立ち始めているとのことです。(PRESIDENT Online)

「地域分散」ではなく「通貨分散」で考える

ここで必要な発想の転換は、株の地域分散ではなく通貨の分散だ。オルカンを持っていれば分散できていると考えがちだが、通貨で見れば資産の6割以上が米ドルに寄っている。円で生活し、円で家賃や教育費を払う人にとって、資産の大半をドルに賭けることは、それ自体が巨大な為替ポジションを取っているのと同じだ。国内株のインデックスや金、新興国株を一定割合組み込み、通貨の綱引きを片側に偏らせない設計が、円安3年目の守りの基本になる。

円安の追い風に慣れた人ほど危うい

162円の円安は、輸入物価だけでなく、個人の資産構成そのものを静かにドルへ寄せていく。オルカンやS&P500が悪いのではない。問題は、含み益を「自分の投資判断が当たった成果」と錯覚し、その相当部分が円安のかさ上げだと気づかないまま、リスクを取りすぎていることだ。相場が最も気分よく見えるときにこそ、通貨の偏りを点検する。それができるかどうかが、円安が反転したときに笑える人と青ざめる人を分ける。追い風に慣れた投資家ほど、いま一度ポートフォリオを円の目線で数え直すべき局面に来ている。

参照ソース(噂の出どころ)

円162円台に下落 「実需が円押し下げ」「株への影響は限定」(26/06/30)/日本経済新聞

オルカンは為替リスクがある!円高になったら損する?円安の影響は?(26/06)/株式会社アルビノ

新NISAで「オルカン・S&P500一択」はやっぱり危険(26/06)/PRESIDENT Online

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