ついに「戦後360円時代」に並ぶ弱さになった
2026年7月1日、ドル円は一時1ドル=162円84銭をつけ、約39年半ぶりの水準に沈んだ。162円台は1986年12月以来、およそ40年ぶりの円安ドル高だ。「1ドル162円目前、円の弱さは戦後360円時代とほぼ同水準で、エコノミストは相当厳しいと警鐘を鳴らしている。(2026/06/30 ABEMA TIMES)」。名目のレートは360円より円高に見えても、物価や賃金を調整した実質の購買力で測れば、円はほぼ最弱圏まで落ちている。数字のインパクトより、この「実質的に最弱」という事実こそ重い。円が強い国という前提は、もう過去の記憶になった。
止まらない理由は、日本側にほとんど手がないこと
円安の主因は日米金利差だ。米国はインフレ対策の利上げで長期金利が4%台を保ち、堅調な経済指標がドル買いを後押しする。一方の日本は6月に政策金利を1.0%へ引き上げたものの、31年ぶりとはいえ米国との差は依然大きい。「足元の円安はドル買い主導で進んでいる面が大きく、米景気の底堅さから相対的にドルが買われやすい。(2026/07/02 三井住友DSアセットマネジメント)」。加えてエネルギー輸入や、新NISAで個人が海外株を買い続ける構造的な円売りも重なる。日銀が多少利上げしても、この地合いを一気に反転させる力はない。円安は「政策の失敗」ではなく「構造」になりつつある。
介入は打てても、効かない
当然、政府・日銀による為替介入の警戒は最高潮にある。「円が約40年ぶり安値、対ドル162円に接近し、介入リスクが一段と高まっている。(2026/06/29 Bloomberg)」。ただ、金利差という根っこを放置したまま為替市場に資金を投じても、効果は一時的にとどまるのが過去の教訓だ。「7月1日、ドル円は40年ぶりに162円台後半をつけ、まだ上値を試す展開になっている。(2026/07/01 外為どっとコム)」。介入は下落のスピードを緩める時間稼ぎでしかない。市場はそれを知っているからこそ、介入を挟んでも円売りに戻ってくる。
「株高と円安」が同時に来る不気味さ
ここで見落としてはいけないのは、この円安が株高と同時進行している点だ。日経平均は7月に7万円を突破した。輸出企業や海外で稼ぐ企業の円換算利益がふくらみ、株価を押し上げる。だが、それは裏を返せば「円で生活する人が輸入物価の上昇を丸ごと負担している」ことの反映でもある。株を持つ層は資産を増やし、持たない層は食料品と光熱費の値上がりに削られる。円安は静かに、しかし確実に、家計のあいだの格差を広げる装置として働いている。日経平均の最高値更新を素直に喜べない理由がここにある。
1ドル162円が突きつけるのは、円安が景気の追い風だという古い方程式が、もう国民全体には当てはまらないという現実だ。守るべきは円の水準そのものではなく、円で暮らす人の購買力である。外貨や海外資産で自衛できる人とできない人の差が、この夏いっそう開いていく。円安対策とは、いまや自分の資産をどこに置くかという個人の問題になった。
参照ソース(報道の出どころ)
・円相場、一時162円台に下落 39年半ぶり水準(日本経済新聞/2026/06/30)
・円が約40年ぶり安値、対ドル162円に接近-介入リスク一段と高まる(Bloomberg/2026/06/29)
・7/1 ドル円40年ぶり162円台後半 まだ上がる?(外為どっとコム/2026/07/01)
・ドル円は162円台に~ドル高・円安はどこまで進むか(三井住友DSアセットマネジメント/2026/07/02)
・1ドル162円目前…約40年ぶりの円安水準にエコノミストが警鐘(ABEMA TIMES/2026/06/30)





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