「半導体は数年で暴落する」という常識が壊れた

半導体メモリといえば、好況と不況を数年周期で繰り返す典型的な市況産業だった。需要が逼迫すれば各社が増産に走り、やがて供給過多で価格が崩れる。投資家がメモリ株を敬遠してきたのは、この「サイクルの呪い」があったからだ。ところが2026年、その前提が静かに崩れつつある。SamsungとSK Hynixは長年の価格急落リスクを避けるため、顧客との取引を3〜5年の長期契約へと切り替える動きを進めている。安く叩き売る関係から、価格を握る側へ。メモリ3社が市場の主導権を取り戻したことが、株価の景色を変えている。

第2四半期も値上げ、年内130%上昇の予測

足元の値上げ幅は尋常ではない。Samsungは2026年第2四半期のメモリ価格を平均で約30%引き上げて供給しており、これは第1四半期に実施した前年比100%もの上昇にさらに上乗せされた形だ。(AUTOMATON) 調査会社の予測では、DRAMやSSDを含むメモリ価格は2026年末までに130%上昇する見込みとされ、AIデータセンター向けの需要が一般向け製品の供給を食い潰している。(GAZ:Log) 供給が需要に追いつくのは2027年とされ、当面は売り手優位が続く。

「寡占」が利益に変わる構造

価格決定権の源泉は、徹底した寡占にある。DRAM市場はSamsung、SK Hynix、Micronの3社で世界シェアの約9割を握る。需要が爆発しても、3社が足並みを揃えて慎重に増産すれば価格は崩れない。実際、価格高騰をめぐっては3社が共謀したとして集団訴訟を起こされる事態にまで発展しており、それ自体が寡占の強さを裏返しに証明している。(XenoSpectrum) 長期契約への転換は、この寡占をさらに固定化し、価格を制度として安定させる試みだといえる。(TradingKey)

投資家が見るべきは「次のサイクル」

メモリ株がもう暴落しないと断じるのは早計だ。需要を支えるAI投資そのものが過熱気味で、もしデータセンター投資が一服すれば、長期契約があっても数量の減少は避けられない。それでも、3社が価格の主導権を取り戻したという変化は本物である。かつてのメモリ株は「景気の最後に買う」ものだった。だが2026年のメモリ株は、AIインフラという構造需要と寡占の価格支配力を背景に、市況株から成長株へと性格を変えつつある。注意すべきは値下がりではなく、AI需要が崩れる瞬間だ。その一点さえ見誤らなければ、メモリは当面、最も底堅い半導体であり続ける。

参照ソース(噂の出どころ)

サムスン、メモリ価格を平均30%値上げとの報道(26/04/06):AUTOMATON / サムスンとSK Hynixが第二四半期もメモリを大幅値上げへ(26/04/08):GAZ:Log / DRAM価格高騰めぐりSamsung・SK hynix・Micronが集団訴訟(26/06/18):XenoSpectrum / サムスン・SKハイニックス 長期契約への転換(26/06/20):TradingKey

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