K-POPスターが「仮面ライダー」を歌う時代

日韓エンタメの境界が、思わぬ場所で溶け始めている。NCT 127のYUTAが、特撮「仮面ライダーゼッツ」第2章の新主題歌「PLAY BACK」を担当した。テレビサイズは3月8日、シングルは5月13日にリリースされ、さらに7月24日公開の映画「仮面ライダーゼッツ さよならのミッション」では新曲「Dreams Never Sleep」も歌う。単発の提供曲ではなく、一作品に深く寄り添う起用だ。「運命なんじゃないかな!?」とYUTAは起用についてコメントしている。(音楽ナタリー、26/03/08) かつてロックバンドやアニソン歌手の指定席だった主題歌の枠に、K-POPの第一線が当たり前のように入ってきている。

特撮がK-POPアイドルを選ぶ狙い

背景にあるのはIPの海外戦略だ。仮面ライダーは国内では子ども向けと見られがちだが、世界的なファンダムを抱えるアイドルが歌えば、作品はその瞬間に海外のファンへ届く。SNS上で主題歌が拡散し、これまで特撮に縁のなかった層が映像へ流れ込む。長寿IPにとってK-POPの拡散力は、作品を世界市場へ運ぶ翻訳装置のようなものだ。狙いは国内の一時的な話題づくりではなく、その先にあるアジア・グローバル市場への橋渡しにある。製作側は曲という入口を通じて、新しい観客との接点を確保しようとしている。

アイドル側にも合理がある

これはYUTAの側にとっても理にかなう選択だ。グループ活動とは別の軸で、日本の歴史あるIPに名前を刻むことは、ソロアーティストとしてのブランドを確実に厚くする。K-POPの主要メンバーが日本のドラマ・映画・アニメの主題歌へ進出する流れは年々強まっており、活動の幅を「歌って踊る」から「作品世界に寄り添う」へと押し広げている。巨大なコンテンツ市場を抱える日本は、彼らにとって最も近く、最も実入りの大きい海外進出の足場になっている。送り手と受け手、双方の利害がきれいに噛み合った結果が、この起用だ。

融合は「主題歌」から始まる

音楽と映像が国境を越えて組み合わさるとき、最初に動くのはいつも主題歌だ。曲はドラマや映画本編より速く拡散し、ファンを作品へ引き込む入口になる。だからこそ各社はキャスティング以上に、主題歌の歌い手選びへ知恵を絞るようになった。YUTA×仮面ライダーは、その仕掛けの典型である。日韓のエンタメはすでに「韓流ドラマ」「J-POP輸出」といった一方通行の時代を終え、互いのIPと才能を双方向に交換し合う段階へ入った。特撮の主題歌という一見小さな枠は、その大きな構造変化を映す鏡になっている。境界はもう、ほとんど意味を失いつつある。

「逆輸入」もすでに始まっている

注目すべきは、この流れがもはや一方通行ではない点だ。日本のアニメや特撮の主題歌をK-POPアーティストが歌う一方で、日本のアーティストや楽曲が韓国の作品や市場へ渡る動きも広がっている。制作・作曲・歌唱の各工程に両国の才能が混ざり合い、どちらの国の作品かを言い切れない楽曲すら生まれ始めた。YUTAの起用は、その大きな融合のごく一部を可視化したにすぎない。国籍やジャンルでコンテンツをきれいに区切るという発想自体が、急速に古くなっている。これからのヒットは、最初から国境を意識しないチームの中からこそ生まれてくる。主題歌は、その変化を映す最前線だ。

参照ソース(噂の出どころ)

NCT・YUTAが映画「仮面ライダーゼッツ」主題歌担当 – 音楽ナタリー
NCTのYUTAが「仮面ライダーゼッツ」新主題歌を担当 – 音楽ナタリー(26/03/08)

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